2020 Fiscal Year Annual Research Report
Girolamo Mei's Aesthetic Ideals reflected on His image of Ancient Music
Project/Area Number |
17K02289
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
津上 英輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (80197657)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ジローラモ・メーイ / アリストテレース『詩学』 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルスの影響で,ヨーロッパの図書館における調査ができなくなり,2019年度の研究を2020年度に期間延長した.2020年度も調査は叶わなかったが,取り寄せ可能な資料と手元の資料を活用して,所期の計画を達成することができた. 2020年度の研究では,これまで3年間の研究を,著書Girolamo Mei: A Belated Humanist and Premature Aesthetician(2021年2月,勁草書房)にまとめることに捧げられた.すなわち,本書の第4章(Introducing Alypius’ System of Musical Notation)として盛り込まれることになった,メーイの古代記譜法紹介に関する論考,および第10章(Methodology)となった,メーイの研究方法に関する論考を,それまでに完成していた諸論考に加えることによって,メーイの古代音楽観をより大きな全体像として描き出すことを試みた.また,本書の英訳を進める過程で,独立の論考として発表された各章間に整合性を持たせることを試みた結果,より明確な全体像が現出したと考えている.上述の著書が,その成果である. 4年間の研究から明らかになったのは,メーイが,アリストテレース『詩学』を代表とする古代思想を客観的,中立的に紹介しているかに見える場面で,適宜同時代の思想や自らの観察を織り込むことで,全体としてきわめて整合的でわかりやすい理論にまとめ上げている様が明らかになった.そこには,古代思想を正確な古典文献の読解を通じて把握しようとする人文主義的志向と,同時代の音楽実践に一つの理念的方向付けを与えようとする美学者の志向とが同時に認められる.その姿は,まさに著書の題とした「遅れてきた人文学者にして早すぎた美学者」である.
|
Research Products
(2 results)