2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Novel Melody Representation for Acoustical Analysis of Noh Singing
Project/Area Number |
17K02295
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 克亘 法政大学, 情報科学部, 教授 (30356472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 玲子 法政大学, 能楽研究所, 教授 (60240058)
赤石 美奈 法政大学, 情報科学部, 教授 (60273166)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 謡 / 謡本 / 音階 / 音組織 / 音高 / 能楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報処理学会の異例な判定で中核となる論文が採択されず、計画が大きく狂った本課題であったが、新たに能楽師の研究協力者を得て、軌道修正を図り、中核となる論文の再投稿の目途がたってきた。さらに当該研究協力者から、新たに音楽学の研究者との新たな交流も生まれ、2021年度から能楽の国際・学際的研究拠点の共同研究に採択された。これらは、本課題を1年延長したことで得られた成果といえる。 ただ、当初予定した、延長の直接的な理由である、2019年度の「能の謡のピッチ解析による日本の音階の変遷過程の検証」の研究成果の発展は、コロナ禍により研究協力者との協力体制がうまく構築できなかったことが原因で予定した通りにはならなかった。 本課題全体での成果をまとめると、観世流に関して、ヨワ吟、ツヨ吟に関して、従来研究の知見と照応できる程度には、音響信号と謡本の対応がとれる処理基盤を確立した。また、この処理基盤を用いて、観世流と他の流儀の相違も観察できることが可能になった。この枠組みの有効性を検証するため、ヨワ吟に関して、謡本との対応ではなく、謡本の情報なしで、楽譜情報を推定する「採譜」の実験を行ったが、高い精度をえられなかった。この実験により、ビブラート(ナビキ)の処理、および音の分割の精度が不十分であることが明らかになった。これらの課題については、本課題の後継の課題である2020年度から開始した基盤(C)「音楽的分析のための能楽の謡の多層的なモデル化」で解決する予定である。
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Research Products
(1 results)