2019 Fiscal Year Research-status Report
演劇研究における録音資料分析:バーナード・ショー作品を用いて
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17K02299
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八木 斉子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10339666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 芸術諸学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はバーナード・ショーによる演劇作品の録音資料分析を中心とするものである。交付申請書で明示したとおり、文献を入手し読み解くことによって研究の素地を固めた初年度と実際に録音資料を試聴・分析する作業を開始した昨年度に続く本年度(2019年度)においては更なる録音資料の試聴・分析を行った。 「書かれた文字(ショーが著した台本)」とその変換である「音声空間」とを照らし合わせて分析し、「文字」と同等の研究意義を「音声空間」に見い出すことが本研究の目的である。本年度の録音資料分析に際しては、昨年度の録音資料分析において用いた手法をあらためて確認し、それが今回も有効であると判断したうえで作業を進めた。 夏季休暇中に大英図書館へ出張し、館内でしか利用が許されていない録音資料を試聴・分析した。対象作品は『人と超人』であった。音を3種類(言語音、音楽、効果音)に区別したうえで各々の特徴に応じて分析したが、ショーによる演劇作品群のなかで『人と超人』は音楽の重要性において傑出しているため、分析の過程で文字だけではなく記号を用いる等の工夫が必要であった。分析の結果にもとづき、『人と超人』1981年録音と1996年録音とを比較する論文を英文で執筆し、これは年度の終わりに早稲田大学演劇博物館紀要に掲載された。論文では、主に『人と超人』第3幕の劇中劇で断片的に挿入されるモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』がショー作品にもたらす正および負の効果を検討した。 春期休暇中には再び大英図書館へ赴き『ジョン・ブルのもう一つの島』と『ピグマリオン』の録音資料を試聴・分析する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大により出張を断念した。『ピグマリオン』については、当初の計画を変更し、出張を伴わずに取り掛かることのできるテーマで共著書のプロジェクトに参加することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に予定していた大英図書館への2回の出張のうち、1回目は滞りなく遂行され、その結果を論文にまとめて発表することができた。しかし、2回目の出張を新型コロナウィルス感染拡大により断念したため、この時に予定していた録音資料の試聴・分析については行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度には、もし大英図書館への出張が再び可能となれば、本年度の出張取り消しにより遂行できなかった作業も含めて録音資料の試聴・分析に取り組む。渡航が困難である状態が続く場合には、研究テーマを当初予定していたものから出張を伴わずに取り掛かることのできるものへ変更する必要がある。
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Causes of Carryover |
春期休暇中に予定していたイギリス(大英図書館)への出張を新型コロナウィルス感染拡大により取り消した結果、計上していた旅費を来年度へ回すこととなった。来年度、出張が可能な状態になれば、当初の計画であった1回の出張を2回に増やす。
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Research Products
(1 results)