2018 Fiscal Year Research-status Report
中断された生の残像:死者の写真展示における美学と倫理の問題
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17K02300
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹中 悠美 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (90599937)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 写真論 / 写真史 / 展覧会研究 / 現代アート / 記念碑 / 記憶 / 追悼 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)国内外で国際美術展や美術館を調査した。海外では上海と台南で美術の国際シンポジウムに参加し、光州ビエンナーレ、釜山ビエンナーレ、台北ビエンナーレ等の国際美術展で写真と現代アートの展示を中心に調査し、資料収集を行った。 (2)立命館大学アジア・日本研究推進プログラムで中国の浙江万里学院の張宜平教授を招いて「東アジア・メディアデザイン研究会 公開ワークショップ」を開催した。 (3) 立命館大学国際言語文化研究所重点研究プログラム「風景・空間の表象、記憶、歴史」で日本の写真史についての研究報告を行うとともに、台湾で発行されているThe Journal of Asian Arts & Aestheticsに論文”The Weight of Snow: The Transition in Snowscape Pictures toward Documentary Photography in Japan”を投稿し、2019年7月にセルビアで開催される21st International Congress of Aestheticsでの研究報告として論文”THE FAMILY OF MAN IN JAPAN: A PHOTOGRAPHIC EXHIBITION FOR WORLD PEACE AND ATOMIC CULTURE IN THE 1950S”を投稿した。ルクセンブルクでの写真展示と記憶についての論文が収載された共著『ルクセンブルクを知るための50章』を公刊した。 (4) 花王芸術・科学財団の助成を得て、立命館大学国際平和ミュージアムの2018年春季特別展としてISによる迫害を受けた中東の少数民族を主題にした「林洋子写真展:ヤズディの祈り」を企画し、展示会場での解説パネルを執筆すると共に来館者に向けて写真家との対談を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はアジア諸国の公共施設や美術展・写真展の情報収集を当初より計画しており、カンボジアやベトナムなど東南アジア諸国への調査は日程の問題から実施できなかったが、中国、台湾、韓国で実施した調査では次年度にもつながる予想以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には前年度の研究を継続推進しつつ、これまでの研究成果を国際的に発信していく。 (1) 先行研究や研究課題と関連する理論や言説の読解と検討 (2) 本研究に関わる世界各地の公共施設や美術展・写真展の情報収集。 (3)これまでに得た研究ネットワークで国際的な研究集会を開催/参加する。 ①2019年6月に立命館大学でベルリン自由大学東洋美術研究所との国際ワークショップを開催し、英語で研究報告を行う。②2019年7月にセルビアで開催される21st International Congress of Aestheticsで研究報告を行う。③東アジアの写真研究者を招いて研究集会を行う。
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Causes of Carryover |
前年度の繰越が約50万円あったことと、本年度の出張旅費と事前調査や通訳のリサーチアシスタントの人件費において、立命館大学アジア日本研究推進プログラムの助成金の一部が充当されたため次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画として、調査のための旅費と資料費、英語論文校正の謝金、国内外からの研究者を招いてワークショップを開催するための謝金とそのワークショップの準備と通訳や翻訳の人件費を予定している。
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