2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K02318
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後小路 雅弘 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (50359931)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゴーギャン受容 / ミャンマー近代美術 / 日本統治期台湾美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目となる本年度は、1年目と2年目に行ったシンポジウムの記録を整理し、紙媒体の報告書にまとめた。また、東南アジアにおけるゴーギャン受容と比較するため、日本統治期の台湾近代美術の調査を行った。とくに日本統治期を中心に台湾のシュルレアリスムの動向を探った『共時的星叢:「風車詩社」與跨界域藝術時代(響きあう星たち─風車詩社とその時代)』展の調査は、ゴーギャン受容に関わる資料を見る貴重な機会となった。 さらに、これまで未調査であったミャンマー近代美術調査をヤンゴンとマンダレーで行うことができた。国立博物館の所蔵品や個人コレクションによって、また収集した文献によって、ミャンマー近代美術の概要を知ることができたが、直接的なゴーギャン受容は見られなかった。東南アジア諸国にあっても、各国の政治、社会状況や文化の文脈によってゴーギャンを積極的に受容した国とそれがほとんど見られない国があることがわかった。また、補足的に、タイ近代美術の現地調査を行った。 3年間の調査研究を通して、東南アジアと台湾、日本(沖縄)など東アジアを比較しながら、ゴーギャン受容というひとつの現象を入り口に、アジアにおける西洋近代美術受容と、アジア各国の近代美術が持つ固有の課題について考察することができた。そのことを美術作品の実際に即して見ていくことで、欧米諸国からの圧倒的な影響を受け入れながら近代化を進めたアジア諸国が、美術の分野で、それぞれの社会の固有の問題として捉えなおしていったのかを明らかにすることができた。
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Research Products
(9 results)