2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02319
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
吉田 雅子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (40405238)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 染織 / 綴織 / ファイバー ワーク / ファイバー アート / 日本 / ヨーロッパ / アンデス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の染織を代表する綴織に焦点を絞り、従来の時代区分を貫通する長い時間枠を設定し、江戸時代後期から現代までの綴織の流れを研究対象とする。ターニング・ポイントとなった三つの時期の作品を調査し、外来の綴織と比較して、異文化の受容の側面に光を当てながら、それらの材質・技法・表現などの特徴とその変遷を明らかにすることを目的とする。 4年計画の4年目にあたる2020年度は、コロナウイルス発生の年にあたった。そのため海外調査は行わず、戦後の綴織とファイバーワークの基礎調査を国内で行った。 戦後のファイバーワークを調べたところ、平面から立体へと作品を展開させることがファイバーワークにおいて重要課題の一つであったこと、その中に綴織を中心技法に用いる作家が複数おり、その代表作家として小名木陽一氏が挙げられることなどが浮かび上がった。そこで、小名木陽一氏にインタビューを行った。氏における外来文化の受容が、どのような形で綴織の平面的作品から立体的作品に移行していく過程に影響を与えたのか、氏の作品の特性の形成にどのように関わったのかを検討した。そしてその結果を以下の論文を通して公表した。「小名木陽一における工芸文化の受容と展開」『京都市立芸術大学研究紀要』65号、2021年。 追記:2020年6月にオランダのハーグの平和宮殿において開かれる国際会議に招聘され、本研究に関する研究発表を行う予定だった。しかしコロナウイルス蔓延のため会議が延期され、この発表は実現しなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス蔓延のため、ほとんどの労力を大学のリモート授業の準備に割かざるを得なかった。また海外調査に出ることができなかった。そのため、申請当初に計画していたようには研究が進められなかった。ただし、コロナを前提として昨年度に軌道修正して目指した内容は、ある程度達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度が最終年度のはずであったが、 コロナウイルス蔓延のため延長し、来年度を最終年度とすることにした。 2021年度中に海外調査に出られるか、現在のところ不明である。もし出られるならば、やり残した海外調査を行いたい。それができない場合は、江戸時代の綴織の調査を、国内で継続的に行いたい。 海外の染織学会のシンポジウムは、中止になるものと、リモートで行われるものとに分かれる見込みである。 もしリモートになるならば、Centre International d' Etude des Textiles Anciens (国際服飾学会)のシンポジウムに参加して、綴織に関して発表したい。このシンポジウムはチューリッヒで開催される予定であったが、直接参加にするか、リモートにするか、来年度に繰り越すか、現在審議中で決まっていない。 事態が刻一刻と変わっていくので 様々な仮説を立てて計画を立ててもそれが有効に働かない。そのため、事態の変化に臨機応変に対応しながら、実現可能な研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のため、授業準備に時間がとられて研究ができず、また海外調査に出ることもできなかった。そこで、やり残した研究を次年度に行う。 2021年度中に海外調査に出られるか、現在のところ不明である。もし出られるならば、やり残した海外調査を行なう。渡航先は主にヨーロッパだが、コロナの状勢を見て行き先を決める。もし渡航できるならば、海外における調査と発表に関連する渡航費や滞在費などに次年度の使用額の多くを使用したい。 それがかなわない場合は、江戸時代の綴織の調査でやり残した部分を国内で行う。調査先は関東、関西、九州などの可能性が高いが、コロナの状況を見て行き先を決める。画像・映像・データ等の撮影や処理などを行なうため、それに伴って必要な機材を購入すること、必要な処理を外注することもあり得る。海外渡航が適わない場合は、このような国内調査の旅費・滞在費・物品費などに経費を使用する。事態が刻一刻と変わっていくので 様々な仮説を立てて計画を立ててもそれが有効に働かない。そのため、事態の変化に臨機応変に対応しながら、実現可能な研究を進めていく。
|