2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K02325
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鎌田 純子 帝京大学, 文学部, 准教授 (60390746)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東照宮縁起絵巻 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、これまで唯一調査できていなかった大阪城天守閣所蔵の「東照宮縁起絵巻」の調査を実施することができた。そのため、現存する江戸期に製作された「東照宮縁起絵巻」6本のすべてが調査済みとなり、あらためて比較研究できる状況になった。 特に、住吉家の製作になる5本の同絵巻の比較研究が可能となった意義は大きい。すなわち、住吉家にとって、江戸初期から幕末に至る同一主題の絵巻をどのように写していたのか、すなわち「家伝来」の絵巻をただ正確に模写していったのか、或いは、新たな情報を加えていったのか、これらを探ることで、日本美術史における「写す」ということの実態が見えてくる。現在は、現存する同絵巻6本について、比較作業中である。また、東京国立博物館所蔵の板谷家資料内に見つかっている、「東照宮縁起絵巻」の下絵の一部やメモ類もあわせて調査続行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
住吉家で製作された「東照宮縁起絵巻」全5巻の調査がようやく3年目にして完了したため、比較に要する時間が充分にとれていない。また、住吉家の「東照宮縁起絵巻」製作が、他の住吉家が手掛けた絵画製作にどのような影響を及ぼしていたのかを探るための調査が実施できていないため。特に、2020年2月3月に予定していた美術館での調査は、コロナ禍のため、実施を延期することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、これまで調査してきた「東照宮縁起絵巻」6本の比較研究をまずは重点的におこなう。さらに、「東照宮縁起絵巻」の製作が、住吉家の他の絵画製作にどのような影響があったのか、探る。 最終的には、研究成果公開のため、研究結果を図録として刊行予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度秋に「東照宮縁起絵巻」6本すべての調査が完了したため、比較研究作業を充分におこなう時間的な余裕がなかった。そのため、研究成果が充分に行う時間を確保した上で、次年度に成果公開の図録刊行を行うため。
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