2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on Buddhist statues in the Owari region of Aichi prefecture
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17K02330
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
高橋 佳代 (小野佳代) 東海学園大学, 人文学部, 教授 (60386563)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 尾張地方 / 仏像 / 文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、愛知県の尾張地方に現存する中世の仏像について調査を実施し、それらの仏像の様式と構造の双方から考察を加え、さらに銘文や文献史料等の解読をとおして、尾張地方の仏像にみられる地方的特色とは何か、また逆に中央からの影響の如何について解明することである。 令和3年度は、尾張地方(主に一宮市とその周辺)の未調査の仏像を中心に視察・調査を実施した。調査した仏像は尾張地方で約28体。尾張地方と隣接する三河地方や岐阜の仏像も含めると、全部で48体の像を調査した。未調査の像を調査しているので、近世以降の像が多かったとはいえ、平安時代から南北朝時代頃までの製作と思われる仏像も6体見出された。このうち2体の像について、足ホゾを設けずに、像底に円柱形のホゾを立てていたのが気になった。しかも古い足ホゾの痕跡がなく、造立当初から円柱形のホゾであった可能性も考えられる。こうした処置は仏像の大きさや他の理由によるのか、あるいは地方的な処置であるのかは現時点では不明である。今後さらに検討していきたい。 本年度は、研究の最終年度に当たる。尾張地方とその周辺地域の仏像を5年間にわたって調査してきたが、毎年必ず近世以前に遡る古い仏像を発見することができた。調査した仏像については報告書を作成し、調査寺院にお渡ししている。また古い時代の仏像であった場合には、市町村の文化財担当の方にも調査結果を報告してきた。 未調査の仏像を対象とした調査のため、必ずしも成果に結びつくとは限らないが、地域に眠る文化財を発見していくには、こうした地道な調査が欠かせないと実感している。この5年間で調査した仏像のうち、十数体の像を市の文化財(彫刻)に指定することができた。本研究は、地域の文化財保護活動ともつながっていたように思われる。
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