2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Research on Chinese Song Dynasty Tenmoku Tea Bowls: Re-examination of Tenmoku Tea Bowls Preserved in Japan Based on the Study of Newly Excavated Pieces and Scientific Analysis
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17K02341
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
小林 仁 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立東洋陶磁美術館, 課長代理 (00373522)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国陶磁 / 陶磁史 / 天目 / 曜変 / 油滴 / 宋代 / 科学分析 / 故宮 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルス感染症の流行、拡大の影響により、予定していた台湾など海外への調査が困難になった。そのため、台北の國立故宮博物院の協力を得ながら進めていた新発見の曜変天目片の分析調査の継続を断念せざるを得ず、台北の分析担当の研究協力者とはオンラインでの意見交換や討論を行いながら、これまでの分析データについての総括を進めた。その成果概要を含めた本研究の成果については、所属する東洋陶磁学会研究会でオンライン発表を行い、論文として学会誌に投稿する準備を進めた。 一方、国内では加賀前田家伝来で「曜変」として伝わるMIHO MUSEUM所蔵の重要文化財「耀変天目」の調査を行うことができた。油滴状の斑文が内外に生じ、さらに全面に虹色の美しい光彩が生じた他に類を見ないこの伝世品の独特な特徴についての知見を深め、歴史上の「曜変」の意義の重要性を改めて認識することができた。また、これまであまり紹介されることのなかった浜松の龍潭寺所蔵の「●(山へんに見)山(けんさん)天目」を特別に参観調査することができた。これはいわゆる禾目天目(兎毫盞)で、織田信長の遺品で井伊家の菩提寺である同寺に伝わったものであるという。信長所持の伝についてはさらに検証が必要であるが、極めて興味深い伝世品といえる。 本研究のこれまでの研究成果については、専門雑誌や書籍などでの論文や学会での研究発表、講演会・講座などで公表するとともに、NHK番組の取材協力など研究成果の社会還元にも積極的に努めた。さらに所属学会での研究発表や学会誌への論文投稿の準備を進めた。この他、研究代表者が企画し、所属機関で開催した特別展「天目―中国黒釉の美」及びその公式図録についても本研究の成果を反映することができた。
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