2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research of the Buddhist Tapestry and Embroidered Imagery
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17K02342
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Research Institution | Nara National Museum |
Principal Investigator |
内藤 栄 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, 学芸部, 部長 (40290928)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 刺繍 / 綴織 / 当麻曼荼羅 / 天寿国繍帳 / 刺繍釈迦如来説法図 / 繍仏 / 織成仏 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は論考をまとめる年度に充て、わが国の代表的繍仏である、天寿国繍帳(奈良・中宮寺所蔵)と刺繍釈迦如来説法図(奈良国立博物館所蔵)に注目することとした。 前者については30年度に実施した染料調査のデータをまとめることで、7世紀前半の作とする伝承が裏付けられることがわかった。紫色の染料に紫根を用いるか否かで古代染織が二つに分けられ、紫根は7世紀後半から登場することがわかった。同繍帳は7世紀後半の作とする説もあるが、紫色の部分に茜を用いており、これは7世紀前半の特徴であると推測した。 後者に関しては唐製説もあるが、類例との技法や図像の比較からわが国での作と考えるのが妥当と結論した。この作品の考察には海外作品との比較が不十分であると考え、中国の南京、杭州、新疆ウイグル自治区、敦煌、北京において調査を行った。新疆ウイグル自治区と敦煌での調査には刺繍作家の同行を頼み、主に繍技に関する調査に重点を置いた。また、一方で図像研究に対しても調査を継続し、法隆寺の金堂壁画や伝橘夫人念持仏厨子との比較を通して、7世紀後半の日本において刺繍釈迦如来説法図が制作された可能性を指摘した。 上記の研究は『糸のみほとけ』展図録(奈良国立博物館、2018年7月)に途中経過を掲載したほか、『鹿園雑集』第22号(奈良国立博物館研究紀要、2020年発行予定)に掲載される。
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Research Products
(1 results)