2017 Fiscal Year Research-status Report
中央アジア西部ポスト・クシャーン朝期(4~7世紀)壁画の基礎的研究
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17K02343
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
影山 悦子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, アソシエイトフェロー (20453144)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウズベキスタン / ファヤズ・テペ遺跡 / ソグド / バクトリア / 仏塔 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成29年度は、バクトリアおよびソグドにおいて4世紀から7世紀に製作された可能性のある壁画等の図像資料を抽出し、データベースを作成する作業を行った。平成29年夏に新たにサマルカンド郊外のカフィルカラ遺跡で、6世紀頃の製作と推定される木彫が発見された。この資料についても関係者から最新の情報を収集した。 5月と翌年2月に、ウズベキスタンに出張し、バクトリアのファヤズ・テペ仏教遺跡で出土した壁画の調査を行った。当該壁画は現在サマルカンド考古学研究所において保存修復作業が行われており、クリーニング作業が完了した壁画断片の写真撮影や描起図の作成などを現地で行った。また、テルメズ、サマルカンド、タシケントの博物館に展示されている壁画や塑像のうち、4世紀から7世紀に製作された可能性のある資料の実物調査を行った。 7月から8月にかけて、研究協力者をウズベキスタンに派遣し、ファヤズ・テペ仏教遺跡の発掘調査記録等について情報収集を行った。 12月にはクリーニング作業が完了したファヤズ・テペ遺跡出土壁画2点について、研究会で報告を行った。断片のうち一点は仏塔の上部構造を表すもので、ガンダーラで見つかっている小型の仏塔(石彫もしくは青銅)の上部構造と比較することが可能である。壁画がクシャーン朝時代に製作された可能性もあり、今後、慎重に検討を進めていきたい。 一年を通して、国内で行われた中央アジア関係の研究会に出席したり、中央アジア美術史に関係する書籍を入手して、最近の研究動向を把握するように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関係する壁画等の資料を抽出する作業を順調に進めることができた。未発表のファヤズ・テペ遺跡出土壁画2点を公表し、製作年代について中間報告を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成30年度は、抽出した資料の中から供養者像に焦点をしぼり、クシャーン朝期から継承している特徴と、クシャーン朝期以降に新たに生まれた特徴について検討する予定である。 昨年度に引き続き、ウズベキスタンに出張し、保存修復作業が進んでいるファヤズ・テペ遺跡出土壁画の写真撮影、描き起こし図の作成を行う。5月にはパリ、9月にはバンクーバーに出張し、研究成果を報告する予定である。 国内で開催される中央アジア関係の研究会に出席し、自身の研究について発表をするとともに、最近の研究動向について情報収集を行う。 研究の過程で、言語学、保存科学の分野にかかわる問題については、連携研究者に助言を求める。
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Research Products
(8 results)