2021 Fiscal Year Research-status Report
Japonism in Theatre: Japan as Introduced by Japanese Touring Theatre Companies
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17K02349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 理子 東京大学, 教養学部, 特任研究員 (80322436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジャポニズム / 女優 / エキゾチシズム / オリエンタリズム / 日本人論 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の海外巡業劇団が演劇におけるジャポニズムに与えた影響には計り知れないものがある。そうした巡業劇団の中で特に20世紀初頭20年近く欧米諸国を巡演し、人気を誇った日本女優・マダム花子の一座について調査し、その実態を明らかにすることが本研究の主たる目的である。 本年度は、海外および国内における調査は実施できなかったため、収集した資料の整理と分析を集中的におこない、これまでに明らかになったことを書籍としてまとめることに力を尽くした。花子一座がいかに広い範囲にわたって公演を行っていたかを視覚的にも示すため、これまで分かっている巡業経路も地図にし、書籍に掲載することとした。その書籍において、今まで、ロダンの唯一の日本人モデルとして、あるいは、森鴎外の小説「花子」のヒロイン(のモデル)としてのみ知られていた花子の全貌をかなり明らかにすることができたと思われる。花子はヨーロッパの芸術家だけでなく、ユージーン・ポール・ウルマン(1877-1953)やベン・アリ・ハギン(1882-1951)などのアメリカの画家たちにも注目され、その姿を描かれている。これらの絵を書籍の中で紹介できたのも、本年度の成果であった。 もと芸者であった花子は、ロイ・フラーという敏腕興行師に見出されて成功をおさめていくのだが、フラー以外のエージェンシー(芸能事務所)ともその都度契約することで、長きにわたって海外で興行を続けることができたのであった。そういったエージェンシーに加え、少なからずの在外邦人が彼女の活動を助けていたことが分かってきている。最終年度である本年度は、そのような当時の在外邦人(コミュニティー)についての調査を進めること、および、これまで収集した資料を見直し、花子一座が演劇におけるジャポニズムにどのような影響を与えたのかさらに明らかにすることを目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、20年近くにわたって欧米諸国を巡演したマダム花子一座に関する資料を可能な限り入手し、分析することを目指しているが、2021年度も、新型コロナの影響により、海外のみならず国内における調査もほとんどおこなうことができなかった。しかし、これまでの研究成果を書籍としてまとめ、出版することができたので、おおむね順調に進展しているといえると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を書籍にまとめることはできたが、いくつかの新たな課題が生まれ、またその後分かったことなど多々あった。まずは、マダム花子にかかわることとなった同国人について調べることとする。これまで、花子の同国人たる日本人は、主として彼女の人気を批判的に見ていたとされているが、少なからずの同胞が彼女の活動を助けていたことが分かってきたからである。 可能であれば、英国か米国を訪れ、最終的な資料収集をおこないたいが、難しい場合は、国内の諸機関(国立国会図書館、外務省外交史料館、岐阜県図書館)などで調査を進めることとする。
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Causes of Carryover |
海外での調査が不可欠の研究であるので、可能であれば、英国か米国へ赴く予定であったが、新型コロナの影響により、断念せざるを得なかったため。本年度(2022年度)も海外での活動は難しいと思われるので、国内での調査・資料収集のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)