• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Research-status Report

1970年代の日本における生録文化

Research Project

Project/Area Number 17K02351
Research InstitutionTokyo National University of Fine Arts and Music

Principal Investigator

金子 智太郎  東京藝術大学, 大学院映像研究科, 講師 (20572770)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords聴覚文化 / 音響技術 / 録音 / 生録 / テープレコーダー / レコード / ドキュメンタリー / サウンドアート
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度には、本研究の概要を提示する論文を発表し、また各論の調査や発表にも着手することができた。論文「一九七〇年代の日本における生録文化──録音の技法と楽しみ」では、1970年代の日本に流行した「生録」文化の展開たどりながら、その背景を主に技術的側面から考察し、また録音者の聴取のありかたを当時の解説書にもとづいて検討した。
研究計画A「1970年代の「ドキュメンタリー・レコード」における聴取の特色」については、当時の一般的な録音者の聴取のありかたを探るために、対象をレコードだけでなく、同時代のドキュメンタリー録音一般に設定しなおした。そして、録音と旅行の結びつきに焦点をあわせた口頭発表「録音の規範と偏差──1970年代の録音紀行から」(国際日本文化研究センター)を行った。
研究計画B「録音による「音遊び」から見る1970年代の録音文化」については、対象を「オーディオユニオン録音コンテスト」に限定することにした。1971年から80年まで年ごとに開催されたこのコンテストは、対象を問わずにさまざまな録音をあつかう生録文化らしいイベントだった。このコンテストは入賞作をレコードとして発表しており、このレコードを研究の中心とする準備をした。
以上2つの各論に加えて、1970年代日本の諸芸術における録音の意義にも目を向けることにした。次年度以降、特に当時の日本美術において録音がどのように用いられていたのかを調査していくことにする。さらに、平成29年度には本申請者のウェブサイトを作成し、研究成果を広く公開する環境を整えた。また、オーディオユニオン録音コンテストのレコード音源をインターネットで公開する準備も進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに論文において本研究の概要を示すことができ、また各研究計画をより詳細に設定することができた。研究計画Aについては、対象を一般的なものに変更したために、進捗がやや遅れている。しかし、計画を再検討することで、生録文化と同時代の他の文化との接点がより見やすくなったと考えられる。研究計画Bについては、対象を絞りこむことで具体的な議論を展開する準備ができた。研究環境の整備については大きく進展した。研究成果を公開するウェブサイトを作成しただけでなく、オーディオユニオン録音コンテスト入賞作を収録したレコードのインターネット公開についてディスクユニオン社から許諾を得ることができた。この音源を公開することで、研究成果を広く伝えることができるだけでなく、さらなる情報の収集にも役立つだろう。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は研究計画Aの成果を、前年度の口頭発表をもとに論文として発表することを予定している。そのさい、いわゆる「聴取のモード」をめぐるこれまでと近年の議論を整理し、発表の理論的枠組みとする。研究計画Bについては、レコード音源の公開を通じてさらなる情報を収集し、それをもとに学会発表を行ないたい。この発表では、録音による創作の歴史を録音技術の誕生期からふりかえり、1970年代の文化の歴史的位置づけを確認する。両研究のためにこれまでと同様、国会図書館などでの資料収集や関係者へのインタビューを継続する。加えて、新たな研究対象である、1970年代の諸芸術における録音の意義と生録文化の比較についても調査を進めていく。

Causes of Carryover

おおよそ計画どおりに使用できたが、平成30年度以降の資料整理に関わる物品費と人件費のため、また国際学会発表の旅費のために次年度使用額を残した。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Listening to Sound Patterns: Tony Schwartz’s Documentary Recordings2018

    • Author(s)
      Tomotaro Kaneko
    • Journal Title

      Aesthetics (Japanese Society for Aesthetics)

      Volume: 21 Pages: 138,148

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 一九七〇年代の日本における生録文化──録音の技法と楽しみ2017

    • Author(s)
      金子智太郎
    • Journal Title

      カリスタ

      Volume: 23 Pages: 84,112

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 録音の規範と偏差──1970年代の録音紀行から2017

    • Author(s)
      金子智太郎
    • Organizer
      国際日本文化研究センター
  • [Remarks] 金子智太郎 美学・聴覚文化論

    • URL

      https://tomotarokaneko.com/

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi