2018 Fiscal Year Research-status Report
今日のピアノ演奏教育におけるフラット化の問題についての実践的思想史的な研究
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17K02354
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小坂 圭太 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (20376966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 淳二 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30282544)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70243136)
立木 康介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラット化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1980年代以降演奏現場と教育現場の双方で顕著になったポストモダン的な諸相の源流を19世紀の前半に遡って読み直し、伝統的に常識とされてきた読み筋と異なった可能性を探求することで、今日的な問題を提起しうるクラシック作品の演奏とはどのようにして可能であるかを探った。 具体的には、19世紀初頭に端を発するピアノのための技術的な練習曲のあり様を考察し、それがそれぞれの世代を代表する作品とどのように結びついているかを再考した。そのうえで、研究協力者との公式非公式な勉強会において、そこに流れる発想がどのような思想や他分野芸術の潮流と結びついているかを検証した。 成果をゼミや演習における教育に反映したほか、2018年6月に分担者の一人である岡田暁生教授と、日本18世紀学会の例会における音楽会で、「20世紀が変奏した18世紀」と題し、個々の作品が置かれた文脈を尊重しつつ通底して流れる問題意識に沿った様式を意識した演奏を行い、評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のような活動により、様々な分野の研究者と、おおもとになる問題意識を共有し最終年度に向けた方向性が明白になったのは予想をはるかに上回った成果といってよいと思うが、教育現場での学生への聞き合わせやその分析が当初の想定よりやや遅れがちであった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、19世紀から20世紀中葉までのテキストを同時代から後世がどう取捨選択して解釈してきたかをさらに洗い出し、そこでこぼれ落ちたと考えられる可能性について、今日的意義の文脈から再検討する。
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Causes of Carryover |
研究会への参加旅費が、たまたま別件での当該目的地への旅費が支給される仕事と日程的に近かったため、私費参加とした事により、使用せずに済んだ。 購入を予定していた原典版書籍の配本が遅れた分予算の執行が繰り越された。 元年度は、研究協力者を交えた、教育現場における実践モデルの構築と成果発表会を行う予定。
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