2018 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering the concept of "War Painting"
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17K02359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北原 恵 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30340904)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 戦争 / ジェンダー / 表象 / アジア・太平洋 / ポストコロニアル / 美術 / 女性 / 植民地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、戦争画研究状況と作品調査、研究発表・出版を行った。 ①海外調査は、2018年12月、台湾調査(台湾ビエンナーレ、台北ビエンナーレ、「再基地:当実験成為態度展」台湾当代文化実験場、2.28国家記念館他)。2019年2月、キューバ調査(国立ハバナ美術館、革命博物館など革命表象調査)である。国内では、2018年6月、東京都中央区郷土博物館が所蔵する長谷川春子に関する100点以上の資料の調査を行い、これまで全く知られていない資料も発見され、貴重な資料群を確認することができた。7月、大田区立龍子記念館にて、青龍社や谷口富美枝に関する資料調査。12月、東京国立近代美術館にて、「アジアにめざめて」展・国際シンポジウムに参加。東京写真美術館にて、「愛について:アジアンコンテンポラリー」展、福岡アジア美術館の「闇に刻む光」展など、アジア関係の展覧会調査も行った。 ②戦争を経験し複数の土地に移動した女性美術家については、2018年12月8日開催の国際シンポジウム「環太平洋の日系ディアスポラ・アート」において、「谷口富美枝(1910-2001)にとっての“Trans.”:日本/USAに生きた女性日本画家」を発表(主催:京都大学人文科学研究所 科研費基盤(S)「人種化のプロセスとメカニズムに関する複合的研究」)。ローラ・キナ(米デポール大学)をはじめとする北米やブラジルの美術史研究者らと研究交流を継続中である。 ③谷口富美枝については、カンザス大学スペンサー美術館の紀要Register(査読有)での出版に向けて準備した(校了済)。これが英語圏では谷口に関する初めての本格的な研究論文となる。さらに発展させた論文を北米の学会誌に投稿するため執筆中である。 ④韓国で拙論「アジア・太平洋戦争期における「御前会議」の表象:「戦争画」とは何か」を所収した『戦争と美術』が2019年2月に出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にはAAS(Association for Asian Studies)において、「戦争画」概念を問い直す研究発表を行なったのに続いて、2年目の2018年度にディアスポラ・アートの国際シンポジウムで谷口富美枝について発表したのは、成果として挙げられる。だが、海外での「戦争画」概念を比較検討するための調査をあまり行うことができず、フィールドワークも不十分だった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、『The Register』誌(カンザス大学)での谷口富美枝の基礎研究論文のほか、『Amerasia』への投稿など、英語圏での発表を着実に行う予定である。2年目で実施できなかった国内外の調査も行う。
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Causes of Carryover |
国内外の出張が計画通りに進まなかったため、次年度に持ち越した。2019年度に使用する予定である。
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Research Products
(13 results)