2021 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering the concept of "War Painting"
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17K02359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北原 恵 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30340904)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争画 / ジェンダー / ポストコロニアル / 女性アーティスト / 表象 / 軍事主義 / 記憶 / 植民地主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの目的は、アジア太平洋地域の戦争画研究とそれに関する作品を調査することによって、軍事主義やポストコロニアルの視点から日本の「戦争画」研究そのものを捉え直すことにある。当該年度は、これまでの研究をさらに発展させることに集中し、(1)戦争を経験した女性美術家たちの作品・資料調査を行なった(赤松俊子、根岸綾子他を追加調査)。 (2)調査対象にしたアーティストのなかでも、日本軍「慰安婦」問題や沖縄の米軍基地、原爆など、戦争に関わるテーマで作品を作り続けたパフォーマスン・アートの先駆者、イトー・ターリにインタビューするなど研究を進めた。しかしながら、調査の途中で、同氏が急逝したため、文献資料の収集とアーカイブ化に精力を注いだ。これらの成果は、2022年度にはウェブサイトで公開し、イトー・ターリの残した仕事を広く社会に広める予定である。また、このプロジェクトは、2021年春に大阪大学の研究者を中心に結成した「フェミニズム&アート研究プロジェクト」と連携しながら、今後も継続していく。 (3)国内で開催された戦争に関わる主な関連展覧会調査を行なった。「さまよえる絵筆」展(板橋区立美術館&京都文化博物館)、「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」(京都文化博物館)他。さらに、日本人画家の制作した戦争画が大量に掲載され、GHQが編纂した『マッカーサー元帥レポート(Reports of General MacArthur)』についても、文献資料を主に追加調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のために、2021年度も海外調査が全く実施できなかったが、これまでの行なってきた文献調査や国内調査を行なうことによって、「おおむね順調に進展」したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、本プロジェクトをまとめ、締めくくる。研究成果のウェブサイトでの公開や、研究会とシンポジウムなどを行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定通りの国内外の出張が、COVID-19のために行えなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、これまでの研究成果のまとめと、成果発表で締めくくる予定である。
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Remarks |
(1)は、研究代表者が主宰するHP. (2)は、2021年春、結成した新たな研究プロジェクトのFB.
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