2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K02360
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
北川 純子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00379322)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 女流 / 浪花節 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は代表者の健康上の理由で、計画のうち、特に旅行を伴うインタビューについては予定通りの実施が困難となった。この事情により、限られた範囲での活動となったものの、以下の成果を得ることができた。 (1)第二次世界大戦前の時期に活動した女流浪曲師のリストを、主として新聞・雑誌記事の記述をもとに整理した。平成29年度末の時点では、計110名の女流浪曲師について、①人物(本名、生没年、番付での位置、レパートリー等)、②新聞・雑誌での記述一覧、③詞章速記本一覧、④音盤一覧、のリストアップを行った。このリストは、平成30年度以降の研究のための基礎データという性格をもつ。 (2)研究の途中成果の一部を、平成30年2月12日に京都府の国際日本文化研究センターで行われたシンポジウム「浪花節と講談の関係を探る」(国際日本文化研究センター・京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター共催)のシンポジストとして発表した。発表内容は、直接的には「女流」浪曲師に関するものではないが、浪花節のレパートリーとジェンダーの問題を考える過程で得られた観点を別の方向から探ったものである。この発表内容は、論稿として、大阪教育大学研究紀要に投稿予定である。 (3)早期に音盤を吹き込んだ数名の女流浪曲師の音盤について、聴き取りによる分析を行った。分析結果の一部は、2019年度に単行本として刊行予定の浪曲論集(共著書、せりか書房)へ向けての論稿(執筆中)に反映させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、代表者の入院、手術、術後の通院治療により、旅行を伴うインタビューに関して、日程と体力を確保して予定通り遂行することが厳しい状況となった。このことから、全体としての進捗状況はおおむね順調であるものの、インタビューに関しては予定の一部のみの遂行となったため、上記区分となった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)冊子としての刊行の可能性も射程に置いて、ここまでに作業を進めた、基礎データとしての女流浪曲師リストを、さらに整備する。 (2)取組が遅れた女流浪曲師へのインタビューに関して、関西の浪曲師も対象に加え、少しずつ実施を進める。 (3)「女流」から見たときの浪花節の歴史を、第二次大戦前までの流れを俯瞰した上で把捉し、平成30年度から本格的に着手する予定の録音物の分析にあたっての観点を確かなものにする。
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Causes of Carryover |
病気により、平成29年度に関しては、全面的に研究活動を展開することができなかった。次年度以降、インタビューならびに資料調査を補う形へと計画を組み替え、進展させてゆく。
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