2019 Fiscal Year Research-status Report
陶磁器における銀泥・金・プラチナ・色絵具顔料を用いた装飾表現の研究
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17K02362
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井戸川 豊 広島大学, 教育学研究科, 教授 (50293022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 銀泥 / 金・プラチナ・色絵具顔料 / 焼成温度 / 磁器土(坏土) |
Outline of Annual Research Achievements |
〇銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究 令和元(2019)年度当初に立てた計画の、銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究については、銀泥を器面に塗布し、焼成によって固着しコーティングされた銀泥上に金粉とプラチナ粉によって描画し、発色維持と色彩変化の基礎資料を作成した。焼成温度の特定については、金は650~720℃が適しており、プラチナは、700~750℃が適していることが分かった。 〇陶磁器絵における表現への展開の準備 銀泥の試験体に使う陶磁器素地と研究成果発表の作品用の素地の選定を当該年度の準備作業をおこなった。当初、高火度域から中火度、低火度域まで対応する素地とし、中・低火度域の素地は、一度高火度焼成(1250℃前後)した素地に銀泥を塗布して、再度各温度領域で焼き付けるものとする。銀泥の発色を良好にするため、特に焼き上がりの白さと描画のしやすさを重視して、銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持に最も適している磁器土を対象とした。そのため、有田系の磁器土および京焼系、瀬戸系の磁器土を試験し、それぞれ色味は異なるものの、無理なく使用できることが分かったが、色味の白さ、価格等を考慮し、瀬戸系の磁器土が、銀泥、金、プラチナ、色絵具顔料の差異が、はっきり出ることから、本研究では瀬戸系の磁器土を坏土として使用することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究のうち、令和元(2019)年度当初に立てた計画では、使用する色絵具顔料は、まず20色を目標としそれらの色味変化の幅と質感の維持の焼成温度を特定して美的効果のある発色維持と色彩変化の基礎資料を作成する予定であったが、銀泥と金・プラチナとの焼成による発色維持研究に時間を要することで、色絵具顔料に関する色味変化の幅と質感の維持の特については、色数としては、オリーブグリーン、マスカットグリーン、ペールブルー、九谷赤、九谷黄、レモンイエロー、ダークブラウンの7色に留まっており、当初予定していた20色は完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
〇銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究の継続 銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究のうち、昨年(令和元(2019))度におこなった色絵具顔料に関する色味変化の幅と質感の維持の特定について、未完了の色についての特定を実施する。 〇陶磁器における銀泥・金・プラチナ・色絵具焼成法の表現への展開 選定された坏土を使用して、実際に陶磁素地を形成する。そして器面の形状によって、銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料の色味変化の幅と質感の維持について確認する。また、顔料によって具象文様を描画し、実際の陶磁器作品としての有用性を確認する。
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Causes of Carryover |
昨年(令和元年(2019年))度は、銀泥と金・プラチナ・色絵具顔料との焼成による発色維持研究のうち、主に銀泥と金・プラチナとの発色維持研究が中心となり、当初予定していた色絵具顔料についての調査については、全ての色を完了できる見込みが立たなかったため、調査可能な色以外の色絵具顔料の購入を行わなかった。それに伴い、坏土として使用する磁器土および銀泥についても当初予定していた量より少なかった。本年(令和2年(2020年))度は、まだ調査できていない色絵具顔料等と、表現への展開にかかわる道具、原料等を購入する計画である。
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