2017 Fiscal Year Research-status Report
Research on Hospital Art and Code in Japan
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17K02363
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
一鍬田 徹 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10263659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホスピタルアート / 彫刻 / パブリックアート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本におけるホスピタルアートの現状を調査、整理すると共に、それらを通してホスピタルアートに求められる作品としてのコードを提示することを目的としていた。現状では一般的になっているとは言いがたいホスピタルアートであるが、先進的な病院における様々な実践例も報告されている。しかし、その取り組みや考え方は特に日本においてはまだ日が浅いこともあり、未消化あるいは混沌とした状況である。そこで本研究では、先進的な病院や大学、その他研究機関の文献調査及び現地でのヒアリングを通して、その実態を把握すると共に、その作品に共通するコードを明らかにすることで、社会に貢献できるアートの方法論を提案することを目指している。 本研究は3年計画で、平成29年度はその第1段階として関連書籍、先行研究の調査を元に論点の整理を行うと共に、予備調査を行う予定にしていた。しかし、その対象は、患者自身が行ういわゆるアートセラピーから、アーティストが取り組む活動まで多岐に渡っており、いわゆる純粋芸術(アート)だけではないデザイン・建築等の要素も含むことが明らかになってきた。予想上に状況は混沌としており、問題点の整理や抽出に時間を要した。そこで本研究では、取り急ぎ、アーティストの取り組み(特に作品制作)に焦点化し、研究を進めることとした。 調査方法については、医療機関でのアンケートやインタビューの他に、ホスピタルアートに積極的に取り組んでいるアーティストとコンタクトを取り、その意図や意義、実践における振り返りなどを調査することとした。これまで、特に触覚を通した鑑賞活動に積極的な彫刻家や、実際に病院での展示を行っていた工芸作家等との交流を通して、情報収集や意見交換を行うと共に、主に国会図書館において、関連図書、雑誌等の文献調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度は先行研究の分析・整理と同時に、現状調査を行う予定だったが、候補となる病院・機関の選定や、アンケートによる調査項目の検討に時間を要したため、実地調査を十分に行うことができなかった。図書、論文等による文献研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、早急に取材の交渉を行い、インタビューなどを通して実態把握および問題点の所在を明らかにしたいと考えている。 2年目となる平成30年度は、初年度に行う予定だった調査対象も含めて、実地調査する病院・機関やアーティストを精査し、予備調査で作成したアンケート項目を基に効率的に研究を進め、作品としてのコードに係る考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
既に入手していた文献や先行研究によって、論点の絞り込みやアンケートの実施方法、調査候補地の絞り込み等を検討していたため、実際には物品費、旅費、人件費、謝金などが発生しなかった。 平成30年度は、平成29年度に行えなかった現地調査を中心に調査・インタビュー等を行う予定である。当初計画していた実地調査候補機関を精査し、効率的にフィールドワークを行うため、旅費を中心に人件費、謝金等の予算を執行する予定である。平成30年4月以降、既に調査は開始している。
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