2017 Fiscal Year Research-status Report
沖縄音楽における現地録音の歴史的研究 ─田辺尚雄からLP『沖縄音楽総攬』まで
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17K02365
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高橋 美樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (30403869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 田辺尚雄 / 沖縄 / 録音 / 民族音楽調査 / レコード / 沖縄民謡 / 琉球古典音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、田辺尚雄が1922年に実施した「沖縄・八重山諸島音楽現地調査」の成果を、いかなる方法で社会へ還元したのかを明らかにすることである。特に、(1)ラジオ番組における公開、(2)講演会における公開、(3)歌舞伎舞踊の創作上演の3点に焦点を当て調査を進めた。29年度は以下の調査を実施した。(1)ラジオ放送で公開した実態を調査するため、国立国会図書館で『日刊ラヂオ新聞』、NHK放送博物館で「NHK確定番組表」の資料収集を行った。特に、1925年JOAKラジオの番組「日本音楽史講座」では沖縄音楽研究家・山内盛彬を招き三線や箏を演奏させていた。沖縄調査の案内役であった山内の学術成果を番組構成や選曲に反映させたことが指摘できる。(2) 1922年「啓明会 第8回講演会」で沖縄調査の際、蝋管蓄音機により録音した音源を再生・公開した。(3)1925年田辺が沖縄音楽・舞踊を盛り込み上演した歌舞伎舞踊劇『与那国物語』の配役、台本、選曲を把握するため国立劇場、沖縄県立図書館で調査した。初演時は歌舞伎座で主役を中村福助が演じていたが、1928年、1932年と再演されるごとに劇場、配役、台本、選曲などが改訂された。さらに、田辺は1928年『与那国物語』を基盤とした交響組曲『南島情調』を作曲、上演した。国立劇場、沖縄県立図書館で調査した結果、新日本音楽の形式の中で、沖縄民謡の主題を導入したことが確認できた。採用された民謡は3曲共、1922年沖縄調査の際に、田辺が鑑賞していたことが判明した。(1)~(3)については、2017年11月12日「東洋音楽学会第68回大会」にて口頭発表した。(4)本研究の【第七次調査】では1965年LP『沖縄音楽総攬』の録音方法を解明する。この調査に先駆け、沖縄市音楽資料館おんがく村でレコードの資料収集を実施し、レコード会社別のディスコグラフィーを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関わる2つの調査は順調に進んでいる。沖縄の民謡・舞踊が次々と東京で紹介され、日本の表舞台に登場する契機となった軌跡を整理することができた。国立劇場、沖縄県立図書館には新聞、雑誌、文献資料の他に、舞踊劇の台本やプログラムが所蔵されており、文字資料による確認や言説との照合作業が確実に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 1953年沖縄芸能使節団が参加した「琉球国劇公演」(於:日比谷公会堂他)は戦後初めての本土公演であり、第8回文部省芸術祭参加作品である。本公演と東京沖縄芸能保存会(1948年発足)との関連性について、公演を支援した研究者、関東在住の沖縄出身者らの活動を中心に整理する。
2. 田辺の日本・アジアにおける民族音楽調査とその成果を把握するために、田辺が執筆した著書、論文、レコード解説書等、文献資料の収集と整理を行う。特に、現地調査の旅程、行動、聴取した音楽について整理し、田辺が現地のどのような音楽に興味を持ち評価していたか、また、現地の音楽を他のどのような音楽と比較し論じていたかについて、分析する。
3. 沖縄市音楽資料館おんがく村で琉球古典音楽、沖縄民謡のレコードの資料収集を実施し、大手レコード会社、沖縄音楽専門レーベルに分けて、ディスコグラフィーを作成する。
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Causes of Carryover |
東京、沖縄調査及び学会発表のための旅費が早期の予約購入により安価な航空券を入手できたため。
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Research Products
(3 results)