2019 Fiscal Year Research-status Report
沖縄音楽における現地録音の歴史的研究 ─田辺尚雄からLP『沖縄音楽総攬』まで
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17K02365
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高橋 美樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (30403869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 田辺尚雄 / 黒澤隆朝 / 桝源次郎 / 民族音楽調査 / 録音 / 沖縄 / レコード / 蓄音器 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究では沖縄県立芸術大学附属図書館「田辺文庫」所蔵の沖縄音楽レコードについて、レコード会社別目録を作成し、録音曲のジャンル分類、起用された歌手・演奏家の活動を整理、発表した(高橋美樹2020:255-292)。1915年~1958年発売レコードの制作経緯や社会的背景を辿り、近代沖縄における録音文化史の萌芽期を描き出した。結論として、以下4点が指摘できる。 (1)商業録音による最古の沖縄音楽レコード【大阪蓄音器1915年制作SP6枚】を発見した。(2)歌手・演奏家は古典が各流派を代表する演奏家、沖縄・八重山民謡が商業演劇で活躍した俳優や地謡を起用していた。(3)選曲は大阪蓄音器が古典を重視し、日本蓄音器商会は沖縄民謡が多い。コロムビア・レコードは古典を重視しつつ新作民謡(例《安里屋ユンタ》)も録音した。ニッポン・レコードで琉球方言の歌詞を共通語訳した「訳詩琉球民謡」を山内盛彬により録音した。(4)那覇市内では録音→製造→宣伝→販売という基礎的な商業録音システムが1915年~1936年に成立していた。 2.本研究では1950年~1951年関東在住沖縄出身者によるNHK制作・沖縄音楽レコード22枚を整理した。1951年「沖縄諸島の古謡と踊の会」の盛況は、沖縄民俗芸能が1952年川崎市の無形文化財に指定される直接の動機となったことを論じた(高橋美樹2020:231-254)。結論として、以下4点が指摘できる。(1)1950年NHKは琉球古典音楽の演奏家・山内盛彬を招聘し湛水流7曲を録音した。(2)NHKは1951年4月「沖縄諸島の古謡と踊の会」(於:早稲田大学大隈講堂)出演者、演目から選抜し、同年5月~6月沖縄本島・八重山諸島・伊江島の民謡を録音した。(4)1954年沖縄民俗芸能が神奈川県の無形文化財に指定された背景には、沖縄音楽に造詣の深い永田衡吉と本田安次の存在があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関わる調査は順調に進んでいる。沖縄県立芸術大学附属図書館「田辺文庫」所蔵、レコード音源聴取の最終調査が完了し、論文完成に至った。沖縄音楽の現地録音に関する新聞記事(沖縄タイムス、琉球新報他)は国立国会図書館、沖縄県立図書館から入手済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.田辺尚雄の日本・アジア民族音楽調査について、録音方法や使用した音響機材など現地録音の変遷を整理する。 2.黒澤隆朝、桝源次郎によるアジアの民族音楽調査を整理し、田辺の活動との関連性を調査する。 3.石垣市立八重山博物館『喜舎場永珣資料調査報告書』を概観し、本研究における関連資料の調査を進める。 4.沖縄市音楽資料館おんがく村で琉球古典音楽、沖縄民謡のレコード資料収集を実施し、レコード会社別のディスコグラフィーを作成する。
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Causes of Carryover |
2019年度に実施予定だった石垣市立八重山博物館の調査を2020年度に変更したため。
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Research Products
(3 results)