2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study of Field Recordings of Okinawan Music: From Hisao Tanabe to the Okinawa Ongaku Soran LP Record Collection
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17K02365
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高橋 美樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (30403869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 沖縄 / レコード / 現地録音 / スタジオ録音 / 三隅治雄 / 民俗芸能 / 無形文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではLP16枚集『沖縄音楽総攬』(1965年コロムビア・レコード)の制作経緯を整理し、収録音源のジャンルを明らかにした(高橋美樹2022:191-231参照)。さらに、琉球政府や日本本土における文化財保護政策と民俗芸能の関連性について追究した。結論は下記5点である。 【1】LP集は東京文化財研究所とコロムビア・レコードの共同で制作された。沖縄における現地録音は1964年―1965年に2回実施された。沖縄本島ではラジオ放送局のスタジオを使用し、離島では公共・宿泊施設を活用して収録された。【2】収録音源・全279トラックをジャンル分類した結果、祭祀音楽が83トラックと最も多く、雑歌=61トラック、祝唄=23トラック、舞踊音楽と労作唄が共に20トラックであった。収録地域では八重山諸島が全体の57%を占め、沖縄諸島は26%、宮古諸島は17%であった。 【3】LP集最大の特徴は民俗芸能の場で歌い、踊られる歌を多数収録した点にある。全279トラック中・46トラックが民俗芸能に該当し、全体の16.5%を占めた。 【4】琉球政府文化財保護委員会が1956年度ー1965年度に「助成の措置を講じた無形文化財」の中で、LP集に収録されたのは琉球古典音楽・湛水流、伊集の打花鼓、泡瀬の京太郎、首里汀良の獅子舞、黒島穂利踊、南の島踊である。同じく、のちに国の重要無形文化財に指定されたのは組踊と琉球古典音楽である。 【5】LP集の解説を執筆した民俗芸能研究者・三隅治雄は1967年―1974年国立劇場の琉球芸能公演(全4回)で演出、構成、監修を務めた。沖縄の若手舞踊家・俳優を集め沖縄歌舞団を結成し、日本・ソ連・ヨーロッパで公演を成功させた。よって、三隅は沖縄の民俗芸能研究の成果を国内外の舞台公演に反映させた人物として捉えられる。
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Research Products
(2 results)