2023 Fiscal Year Annual Research Report
Japanese-Soviet Cultural Exchange in the Thaw: The Soviet Union's Strategy for a Cultural State and Japan's Illusion of Progressive InteIlectuals in the Postwar Era
Project/Area Number |
17K02376
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
梅津 紀雄 工学院大学, 教育推進機構, 講師 (20323462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 司雄 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (50296779)
半谷 史郎 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (90731406)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロシア / ソ連 / 日ソ / 日露 / 文化交流 / 音楽 / パフォーミング・アーツ / 社会主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、すでに収集した文献の整理を進めるとともに、徳永直と岩上順一が1954年末から55年にかけてソ連に渡航した際の作家同盟での議事録の翻訳を、研究分担者の吉田司雄の協力を得て公開することができた。読解作業は困難を極め、不備が多々あるはずだが、今回の公開により、興味ある方々のご指摘を待ちたい。 また、滞っていた現地調査を実施することができた。2019年春を最後に、当初は新型コロナウイルス、その後はロシア・ウクライナ戦争の影響で、ロシア渡航を控えていたが、2023年度は3月に現地に赴き、若干の調査を行うことができた。今回はロシア国立文学芸術文書館(RGALI)での調査が主で、ソ連文化省や作家同盟の文書を閲覧した。これらは当初は2020年3月に実施する予定であったものである。一定の展望は得られたとはいえ、ごく短期間であったことと、年度末の実施であったことから、具体的な研究成果を得るには至っていない。ロシアに関しては、2022年3月7日以降、外務省が危険レベル3(渡航中止勧告)を発出した状態が今日も続いており、やはり外務省が記すように(現金の持ち込みなど)「経済制裁措置の影響に留意した準備が必要不可欠」ではあるが、渡航や現地調査は可能であることを確認できたことは大きい。 研究期間全体としては、やはり新型コロナウイルスの影響が大きく、当初の計画通りには研究を遂行することはできなかったとはいえ、雪どけ期の日ソ文化交流について、一定の文書が残されており、研究の余地があり、少なくともそのディテールにおいては、従来の様々な記述や一般的なイメージを刷新できる可能性があることを確認できたと考える。その前後の時期と比較して、相対的に社会主義国ソ連のイメージが悪くなかった時期の日ソ文化交流の記述は容易ではないが、イメージや先入観ではなく、事実に基づいた記述に努めていきたい。
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