2018 Fiscal Year Research-status Report
楽器演奏者のmotionとemotionの定量的解析および演奏表現の可視化の研究
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17K02379
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川上 央 日本大学, 芸術学部, 教授 (20307888)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 弦楽器 / モーションキャプチャ / 平均モーション / 音楽感情 / 鍵盤楽器 / 二次元マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
Ptrick Juslinの二次元平面上での音楽感情の測定法(2001)はリアルタイムでの音楽感情の変化を記録することを可能としているが、あくまでも音楽聴取者への実験であり、楽器演奏などのタスク中での計測は不可能である。本年度は昨年度に引き続き、演奏者のモーションと感情との関係を解析し、モーション情報から感情の変化を見出す方法を検討した。現在、Juslinの音楽感情の2軸とモーションデータにおける変化量および分散に関係性があることが示唆されており。本年度も、この基礎実験数を増やし、モーションデータから感情価を抽出する方法を実現化させることを目標にして実験を行った。 平成29年度に計測した楽器および演奏者のデータ結果を踏まえて、その演奏と関連性(経験や分野など)が検討できる演奏者を選び、楽器演奏時のモーション計測を行った。このデータから動作速度、加速度、周波数分析、動きの位置、角度の変化などの詳細なデータ分析を行い、申請者らが開発した平均モーション法を用いて平均的動作と各感情の動作の差を用いて分析を行った。鍵盤楽器と弦楽器の演奏モーションについて、動作周波数と動作距離の分散をもとに、二次元マップにおとしこんだ。Juslinの音楽感情の二次元マップと演奏データの相関を分析したところ、「やさしさ」以外の感情において、ほぼ相関があることがわかった。このデータを元にして、各感情などの特徴と演奏者のデータを視覚的にわかりやすいように、GUIの作成の準備を行っており、具体的には、身体各部の力の量をアレイ表示し、感情量については感情ごとにレベル表示を行うGUIの作成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モーションキャプチャは設営、実験に膨大な時間を要するが、これまで経験により、比較的データ収集が効率的になった。 また、計測データの分析に関しても、合理化を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで記録したモーションデータをもとに、平均モーション法や周波数解析などの現在行っている解析方法以外の方法について検討を行う。特に、演奏動作には複数の要素が混在しているため、重回帰分析を行って、それぞれの部位の演奏に対する影響について詳細な検討を行う。 本年度は最終年度のため、7月に開催されるInternational Symposium on Performance Science を皮切りに、国内外で研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた演奏者に支払う謝金が予定よりも安くなった。その理由は、計測方法などの改善によって、拘束時間が少なくなったことと、演奏者も実験に慣れてきて、少ない回数でエラーの少ない計測が可能になったことによる。
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