2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K02380
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
森 立子 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (40710843)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バレエ音楽 / バレエ史 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度は、「バレエ音楽のアーカイブ化」に伴う諸問題を抽出するためのモデルケースとなる作品を選定する作業を行った。その際、18~19世紀のバレエ作品の主要レパートリーに関して、日本国内の音楽図書館、およびフランス国立図書館における楽譜資料の所蔵状況の調査を実施した。その上で、今後のさらなる調査対象の候補となる作品を選定し、その一覧表を作成するとともに、これらの作品については、オンライン検索で得られた情報を補うために、所蔵図書館(フランス国立図書館)に赴き楽譜資料の状態、内容を直接確認する作業を行った。 また、研究課題に関連する文献の情報の収集を継続的に行っており、入手必要性の高い文献から順次購入を進めている。 バレエ音楽を所蔵するダンス・アーカイブの訪問調査は、次年度以降実施する予定であるが、その情報を得るためにヨーロッパ舞踊史学協会の年次総会に出席し、関係諸機関の研究者から有益な情報を得た。 さらに、バレエ音楽およびバレエ史全般に関する情報交換の場を提供することを目指し、バレエ史に関する研究会を発足するための準備を進めた。本研究課題においては、研究内容を広く社会に発信するためにホームページを構築し、研究成果、文献情報、その他関連情報をウェブ上で公開することを計画している。しかしながら、研究会参加者への連絡手段を早急に確保する必要性が生じたため、本年度はホームページ構築に先立ち、SNSを活用しての情報公開を開始した。なお、上記研究会については、約1年の準備期間を経て2018年4月に第1回を開催、さらに2018年度中に第2回から第4回までの開催を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり、18~19世紀バレエ作品の主要レパートリーについてその楽譜資料の所蔵状況調査を進め、今後の調査対象となる作品の候補を絞りこむ段階に至った。よって、次年度に予定されている作業へと進む準備は整っていると言える。 その一方で、上記の作業の過程において、網羅的な情報収集作業の困難さ(個人蔵の資料ほか、アクセスの可能性が限られた資料が多数存在するなど)も明らかになっており、この点も含めて「バレエ音楽のアーカイブ化」の可能性と限界とを検討していくことが必要であるとの認識を得ている。 研究成果の社会への還元については、現時点でSNSを活用しての情報提供を行っているが、諸情報を集約的に提示するためにも、今後ホームページの構築に向けて作業を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
「バレエ音楽」の範疇に含まれる作品は多様であり、それゆえに多角的な検討が必要となるのだが、来年度については次の2つの作業を主軸に据えて調査を進めていく予定である。すなわち、1)バレエ作品の主要レパートリーの一つである《ドン・キホーテ》について、楽譜資料の比較対象作業を進める、2)舞台音楽の作曲(とりわけ編曲)を数多く手がけたブルグミュラーの作品の収集を進め、それらの分析を進める、という2つの作業である。 また、バレエ音楽を所蔵するダンス・アーカイブの一つ、ロンドン・ロイヤル・オペラ・ハウス(コヴェント・ガーデン)アーカイブの訪問調査を実施する予定であり、2018年度の前半はそのための予備作業も並行して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
2017年度中にフランス国立図書館での資料調査を予定していたためその経費を計上していたが、この調査が3月末から4月初頭にかけての年度を跨いでの実施となった。よって、すでに実施済みのこの調査の会計処理が2018年度に行われることとなり、そのために次年度使用額が生じることとなった。 また、当初は初年度にホームページを構築することを計画しており、その費用を計上していたが、これに先立ってSNSを活用しての情報公開を行うこととしたため、ホームページ関係の予算が次年度に送られることとなった。これについては、次年度中にホームページの構築を実現する予定である。
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