2019 Fiscal Year Research-status Report
A Comprehensive Study of French Film Criticism in the Era of Cinephilia
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17K02394
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
堀 潤之 関西大学, 文学部, 教授 (80388412)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 映画史 / 映画批評 / 映画理論 / バザン / ゴダール |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度に引き続き、ヌーヴェル・ヴァーグ誕生前後のおよそ四半世紀(1944-68年)のフランスにおける映画批評の展開のうち、とりわけアンドレ・バザンとジャン=リュック・ゴダールに焦点を当てた研究を行った。 バザンに関しては、『アンドレ・バザン研究』第4号の編集とりまとめを行いつつ、とりわけ、その号でアンドレ・マルローの唯一の映画監督作『希望』(1939/45)について書かれたバザン最初期の批評「『希望』あるいは映画におけるスタイルについて」を訳出した。その解題において、マルローの映画作品の製作経緯を跡づけつつ、バザンの映画批評が「写真映像の存在論」のみならず、「映像の修辞学」とも言いうるまったく異なる関心にも根ざしていることを示唆した。 ゴダールに関しては、前年度に行った最新作『イメージの本』(2018)の読解の延長として、論考「「ピクチャレスク・ゴダール――『イメージの本』における絵本の論理」において、(とりわけアラブ世界を扱った映画の後半における)映像の断片どうしの接合の論理をやや批判的に考察した。 その他、業績化には至っていないものの、大阪大学で行われたフィリップ・デュボワ氏の基調講演「写真、映画、時間――イメージに時間を見ることはできるのか」へのディスカッサントとしての参加(2019年5月26日)、ギヨーム・ブラック監督『宝島』をめぐる一般向けのトーク(於シネ・ヌーヴォ、2019年7月7日)、『イメージの本』が出展された堂島リバービエンナーレ2019「シネマの芸術学――東方に導かれて」への企画協力および飯田高誉氏とのトークセッションへの参加(於堂島リバーフォーラム、2019年7月27日)、『溶岩の家』をめぐるペドロ・コスタ監督とのトーク(聞き手・通訳、於出町座、2019年12月2日)等の活動も行い、最後のものに関しては、個人ブログに日仏両語で採録を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度(令和元年度)は前年に引き続きバザンとゴダールを中心に据えつつ、マルローの『希望』という一本の映画作品を軸に、同時代の他の批評家たちによる言説の比較考察も行うことができたので、トータルとしてはおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、アンドレ・バザンの映画批評の読解を進めつつ、1940-60年代に活動した他の映画批評家たちのうち、とりわけ、アレクサンドル・アストリュック、ジャック・リヴェット、ゴダールらの言説の読解作業も進めるつもりである。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していたフランス・パリとイタリア・ミラノ周辺への出張を、新型コロナウイルスの蔓延のために見合わせたため。この出張については、2020年度に繰り延べる予定である。
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Research Products
(6 results)