2019 Fiscal Year Research-status Report
『はだしのゲン』の英訳成立とアメリカにおけるその受容の研究
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17K02403
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Research Institution | Kyoto Junior College of Foreign Languages |
Principal Investigator |
荘中 孝之 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 教授 (70390101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 邦彦 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (40387981) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 『はだしのゲン』 / マンガ / 英訳 / 受容 / 原爆 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、『はだしのゲン』の英訳を行ったプロジェクト・ゲンの中心的な存在であったN氏と面会し、聞き取り調査を行った。そこで具体的にどのような作業を経て英訳がなされていったかを、実際に資料や現物を拝見しながら詳細に聞き取った。 そして翻訳の過程で多くの苦労や工夫があり、また修正すべき点があることもわかった。そこには絵とセリフの吹き出しを伴うマンガという表現手法特有の制約や難しさがあり、また基本的に右上から左下に向かって縦にセリフが記述される日本語のマンガと、左上から右下に向かって横に記述される英語の間に整合性を持たせることに、予想以上の困難があることもわかった。 そして2019年の2月から3月にかけて、『はだしのゲン』の英訳を刊行したアメリカの出版社Last Gasp社の現社長と面談し、聞き取り調査をすべく具体的に日程の調整等を含めて準備を進めていたが、コロナウイルスの影響で渡米が困難となった。その間資料の収集や読み込み、整理に努めた。しかしある程度古い文献等は存在するが、最近のものは少なく、実態を解明するには不十分であることが判明した。 今後は最近の原爆を扱った作品、例えばこうの史代の『この世界の片隅に』の原作や映画等も参照し、比較していく必要があると思われる。もちろんマンガ表現自体の変化もあり、それらの考証によって『はだしのゲン』の時代性や限界、また普遍性といったこともより明らかになっていくと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年はハワイで有効な調査を実施することができたが、2020年春に予定していたアメリカ本土での調査がコロナウイルスの影響で困難となり、本研究の重要な部分が遂行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2020年夏、あるいは2021年春の渡米を目指して調整を進めていく。その際に英訳Barefoot Genのアメリカでのセールスや受容の状況を、出版社、学校、図書館等で調査する予定である。出版社とはすでにコンタクトを保っており、あとは学校や図書館での有効な調査に向けて、準備していく必要がある。もし2020年度中に渡航することが困難であると判明すれば、代替手段としてメールやZoom等で関係者と連絡を取り、調査を進める準備をしていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年春に予定していたアメリカでの現地調査が、コロナウイルスの影響により困難となり、本研究の重要な部分が遂行できていないため。
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