2021 Fiscal Year Research-status Report
多様な公演分野別集計を可能にする日本の商業演劇公演データベースの整備
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17K02404
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Research Institution | Satistical Information Institute for Consulting and Analysis |
Principal Investigator |
坂部 裕美子 公益財団法人統計情報研究開発センター, その他部局等, 研究員 (50435822)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統芸能 / 宝塚歌劇団 / 吉本新喜劇 / 寄席定席 / 統計分析 / 長期データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年もコロナの影響が続き、長距離移動や、有識者との面会を伴うような積極的な資料収集・ヒアリングは一切行えなかった。また、参加した学会もすべてオンラインでの開催となり、結果として旅費の使用が全くない年度となった。 このため、本年度の研究活動は、既に保有している資料のデータ分析がメインとなった。統計関連学会連合大会では、従来は興行史資料として分析してきた宝塚歌劇団劇団員の現役活動期間の長期変化を、「戦後の女性の社会進出」に関する一資料として捉え直した報告を行った。また、所属先機関発行の月刊誌「ESTRELA」への連載「伝統芸能興行データ集計・その一里塚」では、宝塚の現役活動期間について、学会報告とは異なる視角からの分析となる様々な属性別比較の結果や、吉本新喜劇の本公演出演回数に関する集計などについて報告した。なお、吉本新喜劇では、2022年2月の間寛平の新喜劇GM就任を機に「本公演への出演者の偏り」の問題が声高に叫ばれるようになり、図らずも本研究の着眼点の先見性が認められる形となった(吉本新喜劇の座員の本公演出演回数の、最初の集計を行ったのは2018年であった)。 さらに本年度は、デジタルアーカイブ学会への参加を通じて、本研究と共通する部分が数多くあると考えられる、クラシック公演のデジタルアーカイブを作成中の研究者と知己を得ることができた。今後も意見交換等を行いながら、「研究者から実演家まで利用できる公演データベース」に最もふさわしい基本フォーマットの構成に関する考察を深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長引くコロナ禍下にありながら積極的に公演催行を進め、既にほぼ2019年以前の興行形態に戻しているという点でも興味深い宝塚の分析を初め、興行データの分析作業は本年度も着実に進めている。しかし、これらの成果を現場の関係者に披見して意見を聞き取る、といった次段階の作業に到達することが、残念ながら本年度も困難だった。 2022年に入り、専門図書館等の事前予約なしでの閲覧や長時間の滞在が可能になるなど、研究環境は徐々に改善してきている。今年は積極的に資料調査に邁進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
各種公演資料のデータ化を進めると同時に、コロナ禍で一部では促進されたように感じられる「世代交代」の発現が把握しやすくなるようなデータの拡充を行う。 さらに、2022年からは、文化庁の公表資料にも転載掲載されている、日本劇団協議会発行の演劇公演に関する年次報告書のデータを活用した時系列整備の研究を開始した。これも従来活用されてこなかった資料であり、何らかの形でデータベースに含めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
前年に引き続き、本年も調査のための出張が不可能だったこと、そして、参加したすべての学会の研究大会がオンライン開催であったことから、謝金や旅費として確保しておいた分が未執行となった。 2022年は、移動制限解除の兆候が見られるため、阪急池田文庫での資料調査や関西演芸界関係者へのヒアリングなどを是非とも再開させたい。そして、最終報告に向けて、オンライン研究報告会や成果物の作成に関する費用を計上していく予定である。
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