2022 Fiscal Year Research-status Report
多様な公演分野別集計を可能にする日本の商業演劇公演データベースの整備
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17K02404
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Research Institution | Satistical Information Institute for Consulting and Analysis |
Principal Investigator |
坂部 裕美子 公益財団法人統計情報研究開発センター, その他部局等, 研究員 (50435822)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統芸能 / 宝塚歌劇団 / 吉本新喜劇 / 寄席定席 / 統計分析 / 長期データ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、(1)日本劇団協議会の発行資料をデータ化した、劇団活動の経年データ分析と、(2)宝塚歌劇団在団者の活動期間の長期データ分析の2つを中心に研究活動を行った。 (1)に関しては、資料掲載値をグラフ化してみると、それぞれの劇団の活動状況が特徴的に示されること(例:劇団創設から×十周年、などの年には前後の年と傾向が変わる)や、1990年代~現在までという比較的長期間の連続データが取れるため、公演回数の推移の形態別に劇団をいくつかのグループに分けて比較することも可能、という知見が得られた。しかし、元資料の調査が任意回答であるため、データ分析を行うには限界があり、今後の課題である。 (2)は、長年継続して集計している研究テーマなのだが、本年は成果の認知をより広めたいと考え、これまで一度も報告を行ったことがなかった学会にアプローチして、本年度中に研究報告から書籍出版準備完了まで漕ぎつけた。そもそもは「特殊な女性劇団の活動概況把握」というつもりで始めた集計だったが、様々な公的統計の長期データとの比較などを行う中で「女性の社会進出」と絡めた分析も可能であると感じ始めた。これからは、スポーツなど他分野の長期活動概況との比較も考えていきたい。 これら以外にも、昨年度同様、所属先の機関誌「ESTRELA」にて隔月の原稿執筆(令和4年度に取り上げたテーマは「吉本新喜劇」「宝塚」「歌舞伎」「落語」、さらに9月号では「実演芸術における公演データの整備とその分析」の特集企画及び原稿執筆を担当)、集計用データの更新などを継続的に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来から収集している分野の公演データは順調に更新・集計が進められているが、それぞれを「多分野間で比較可能なデータベース」の構成にまで拡張できていない。特に本年は、日本劇団協議会データ集計を行う中で、従来設定してきた公演の「1単位」(同一劇場×同一日程×同一演目を1単位とする)では不十分(括りが大きすぎる)であるように思い始めた。今後は作業ボリューム増大との闘いになるかも知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
関係の研究会や公開講座に積極的に参加し、最新のデータ公開状況やデータ処理技術を学ぶようにしている。特に昨今のOCRの技術進展は目覚ましく、今後のデータ作成の大きな推進力になりそうなので、いくつかのオープンソフトの試用を開始している。 令和5年度は最終年度となるため、さらに積極的な研究成果の対外発信を目指したい。
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Causes of Carryover |
(1)新型コロナ感染拡大防止の観点から、令和4年度も長距離の移動や対面開催の学会・研究会の開催が制限された期間があったこと、(2)学会報告~論文執筆~書籍用原稿執筆と順調に進み、成果報告の一環となる予定だった書籍の刊行が翌年度にずれ込んだこと、の2点によるところが大きい。 令和5年度は、この書籍刊行にかかる経費と全体の成果報告書の作成経費で、繰越額全額を執行する計画である。
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