2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on generation and acceptance of "Konjaku-monogatarisyu" -Works-theoretic consideration-
Project/Area Number |
17K02415
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
千本 英史 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (50188489)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 今昔物語集 / 生成 / 受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
結果的に北海道ならびに九州、沖縄地区の新規調査を行う余裕を持てなかったが、論文として「『今昔物語集』の北辺」(叙説47号2020.3)で、『今昔物語集』巻31-11「陸奥国安倍頼時、行胡国空返語」の安倍宗任の事績を追及する中で、2017年に発表した「『弘賛法華伝』をめぐって」(『日本文学の展望を拓くⅠ東アジアの文学圏』所収)で論じた『今昔物語集』の成立に大宰府という地域が関与している可能性を補強する観点について論じた。 『今昔物語集』が近代文学作家によってどのように受容されたかについて、昨年度の「〔研究ノート〕『今昔物語集』と近代作家-今東光と杉浦明平の場合-」に続いて、「〔研究ノート〕『今昔物語集』と近代作家Ⅱ-菊池寛『好色物語』・『新今昔物語』の場合-」を執筆した。いずれもこれまで(菊池寛の『新今昔物語』を除いて)ほとんど取り上げられることのなかった作品群であり、受容の観点からみて一定の価値があるものと考える。 南方熊楠が帰国後、最初に閲覧した田辺市闘鶏神社所蔵の『今昔物語集』(巻2第1~25話、巻14第1~45話)について、分析を進め、南方熊楠顕彰館での特別展示「闘鶏神社と南方熊楠」において報告を行った。また、年度末に『闘鶏神社和漢書目録稿』を刊行し、神社蔵の同写本の全文画像データをDVDの形で付して、研究機関等に送付することができた。同時期の今昔物語集の研究、受容状況の解明のために、貢献できたものと考えている。
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Research Products
(4 results)