2019 Fiscal Year Annual Research Report
The characteristics and development of the late "Manyo-shu"choka in the history of Waka
Project/Area Number |
17K02416
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (80329903)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 萬葉集 / 大伴家持 / 大伴坂上郎女 / 橘諸兄 / 孝経 / 書儀 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】著書『気候危機と人文学――人々の未来のために』のうち「萬葉後期の自然観照――情調の表現をめぐって」(68-87頁)を分担執筆(奈良女子大学文学部〈まほろば〉叢書 令和2年3月31日)。萬葉第三期を代表する作品「梅花歌三十二首」について、自然を観照的な態度で対象化し、擬人化を通して情調をかもしだす方法とその情調の中国六朝詩的な雰囲気とについて考察した。 【2】雑誌論文「『霊異記』における書儀・書簡的表現の利用」(『叙説』47号(11-22頁) 令和2年3月7日)は、前年度の研究報告を踏まえて論文化したもの。僧侶間の改まった会話文の中に、中国の書儀・書簡を利用した表現のあることを指摘した。 【3】学会発表「橘宿祢賜姓を願う表と大伴家持」(美夫君志会全国大会招待研究発表会 於中京大学 令和元年7月6日)は、『続日本紀』天平八年十一月条に載る「橘宿祢賜姓を願う表」が広範に『古文孝経』及びその注を踏まえることを指摘し、後年、その表を想起して詠まれた家持長歌も同様に『古文孝経』を意識的に踏まえる表現が見られ、そこに家持の橘諸兄に対する強い憧憬のうかがえることを明らかにした。 【4】学会発表「大伴坂上郎女の来贈歌―大伴家持代作歌への返歌として―」(萬葉学会全国大会 於淑徳大学 令和元年10月20日)は、【3】でとりあげた家持長歌に対する大伴坂上郎女の返歌を取り上げ、家持長歌との対応を綿密に考察し、坂上郎女の理解と応え方を通して改めて家持の表現方法を考察した。 【5】講演「萬葉集の橘の歌」(奈良県立図書情報館公開講座 於奈良県立図書情報館 令和元年9月22日)では、巻十七以降の家持の長歌で詠まれる橘が、しばしば橘諸兄を寓意することを指摘し、家持内部にある諸兄への思い、ひいては聖武朝への仰慕について述べた。
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Research Products
(7 results)