2019 Fiscal Year Annual Research Report
Pioneering the history of acceptance of Yamato Takeru's cultural resources
Project/Area Number |
17K02425
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 真美 東京理科大学, 理学部第二部教養, 講師 (30548144)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 古事記 / 日本書紀 / 風土記 / 文化資源 / 受容史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度に引き続き、ヤマトタケル説話に関連する銅像・記念碑及び史蹟について、建立経緯の解明や現況確認、さらには享受の在り方に関して、主に実地踏査による研究を行うことを中心とした。 東日本方面に関しては、前年度の調査内容を踏まえ、富山県砺波市内に設置されている、般若善治郎作の日本武尊銅像(「招魂碑」)に関する建立背景、及び現在の祭祀状況の調査に重点を置いた。成果として、周囲には奉安殿や、昭和天皇の摂政時の1924(大正13)年11月に、北陸方面にて挙行された陸軍特別大演習を記念する「皇太子殿下行啓記念樹」の標柱なども設置されていること、地域の自治会の尽力により、整備された環境を保っていることをも明らかにした。 西日本方面では、前年度の地方史誌等の調査をもとに、島根県及び鳥取県内にみられるヤマトタケルの史蹟等を調査した。併せて、日本神話をモチーフとする銅像・記念碑等のうち、現在まで未見のものも実見した。成果として、『古事記』イヅモタケル征討説話と関連する「止屋の淵」では、同地が神戸川と斐伊川の交差地点に位置すること、『日本書紀』崇神天皇条に登場する出雲振根説話のみが現地の案内板に記載されていることをみた。また、ヤマトタケル伝承地である波迦神社は、『出雲国風土記』の伝承を記し、倭建命(倭健命)・健部臣古彌命の二神を主祭神とすることや、境内に諏訪大明神などが合祀されたこと、「武部邑氏子」による燈籠の奉納をみた。また、鳥取県東伯郡北栄町内の宮崎神社では、当地が「大島」という地名をもち、かつては「浮洲の社」と呼ばれるほどの高台であったこと、素戔嗚尊(後代に合祀)も祭神であることが判明した。この他、徳島県徳島市内の神武天皇銅像も調査した。 最終年度の事業として、古事記学会12月例会(2019年12月)にて開催された「『古事記』『日本書紀』と文化資源」に登壇し、かつ小展示を実施した。
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