2017 Fiscal Year Research-status Report
奈良仏教を中心とした東アジア文化交流に関する研究―渡来僧の活動と実態解明―
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17K02427
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
金 任仲 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (30599577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂野前 彰子 (岡本彰子) 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (50588770)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 渡来僧 / 高句麗僧 / 華厳宗祖師 / 元暁 / 義湘 / 華厳縁起 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、史書・古文書・縁起書・『東大寺要録』『三国仏法伝通縁起』『本朝高僧伝』などに見られる渡来僧に関する記事の調査と解読をすすめた。渡来僧の関連資料は膨大な典籍であるので、今年度は飛鳥・奈良時代における高句麗からの渡来僧を中心として、史書・仏教典籍・縁起書と、中国側の史料『宋史』『宋高僧伝』『仏祖統記』などの該当文献の調査を行なった。高句麗僧の慧慈・慧灌と関わりがある関西市域の寺社・遺跡の調査と資料収集を行なった後、国立京都博物館の宮川禎一氏と新羅僧元暁・義湘の関連する『華厳縁起』絵巻の画像やデータベースの利用などについて、意見交換を行なった(2017年6月10日~12日)。また中国吉林省の集安・桓仁・延吉などを訪ねて高句麗僧たちの渡来のルーツを調査し、海外協力者の山東大学の金哲氏から意見交換と関連資料の提供をいただいたことは、本研究において大いに寄与するだろう。研究成果としては、日本において元暁が「華厳宗の祖師」として称された経緯と、『華厳縁起』の元暁伝について考察し(『淵民学志』29輯、2018・2)、京都の高山寺所蔵の『華厳縁起』絵巻の図版解説と原文翻訳を行なって出版した(『華厳縁起-元暁絵・義湘絵-』、2018・1)。堂野前彰子は、『華厳縁起』に描かれた「鬼」について、日韓比較研究を行ない(『淵民学志』29輯、2018・2)、美浜町歴史シンポジウムに参加し「若狭国の日向神話」を主題に研究発表を行なった(美浜町教育委員会、2017年11月3日)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高句麗からの渡来僧に関連する諸文献の調査と解読は、計画通り順調に進んでいるが、百済・新羅からの渡来僧に関する韓国側の仏教典籍と古典文学の調査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究調査を踏まえ、高句麗僧の慧慈・慧灌・智蔵について、史書と『三国仏法伝通縁起』『風土記』『懐風藻』『元亨釈書』のほかに韓国側の史料『三国遺事』『圓宗文類』などと総合的に比較し検討する。また『正倉院古文書』を中心に仏教説話集・縁起書など、渡来僧と関連する諸文献の該当箇所を調査し解読する。
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Causes of Carryover |
渡来僧に関連する寺社・遺跡の国内調査の日程変更により、次年度使用額が生じた。渡来僧と関連する仏教典籍や説話集などの図書を購入する。国内外の学術大会の参加及び国内調査・資料収集を行うなど、なるべく経費を節約して使用する。
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