2020 Fiscal Year Research-status Report
地域文化としての能楽の継承に関する調査研究―豊橋市魚町伝来の狂言伝書をもとに―
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17K02431
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
米田 真理 朝日大学, 経営学部, 教授 (20398358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 和利 名古屋女子大学, 文学部, 教授 (70173002) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 狂言台本 / 和泉流山脇派 / 家元制度 / 豊橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸後期から戦前まで住民によって盛んに能・狂言が演じられていた、愛知県豊橋市魚町の能楽に関する調査研究である。本研究は、豊橋市魚町という一地域で伝承されていた能楽のうち、台本を中心とした資料が多数残存している狂言について文献調査を行い、これをもとに、和泉流狂言台本の変遷や、地域に密着した能楽の実態についてなど、多方面にわたって調査研究を行うものである。今年度の成果は、以下のとおりである。 1)魚町の台本をもとに、江戸後期から明治十年代までの名古屋和泉流における、地方の素人弟子たちへの教授システムについて、学会発表を行った(令和2年11月22日実施 芸能史研究会大会。オンライン開催)。 魚町では宗家の重要な弟子家である早川幸八家とその高弟たちが町衆の指導にあたっており、魚町の台本のほとんどは、天明年間に初代幸八によって書写された台本(通称『波形本』)の系統である。しかしながら、文政年間の台本に関しては不自然なくらい、同時期に山脇和泉家七代元業によって編集された台本(通称『雲形本』)の混在が見られる。『雲形本』は元業が家元としての使命感から編集したといわれ、このことが、地方の素人弟子たちへの指導にも少なからず影響を及ぼしたとの知見を得た。 2)現在活動中の和泉流能楽師への聞き取り調査を行い、上述の『波形本』系統本のうち未公開本の写真(マイクロフィルム)が存在するとの情報を得た。このことから、今後、当資料を中心に『波形本』系本文のバリエーションや変遷に関する調査を行う計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
魚町の台本をもとに、狂言の〝家元制度〟についての考察を進める予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大にともなう活動自粛が生じたことから、調査を予定通りに行うことができなかった。特に、和泉流山脇家が明治時代初期、東京に移住後の資料や、魚町と交流のあった新城に関する資料の調査を実施できなかった。こうしたことから、当初予定していた、和泉流山脇宗家による台本の整備や家元の東京移住などが魚町の台本に及ぼした影響といった考察を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響は今後も続くと考えられることから、長距離の移動をともなう調査をいったん中止し、できるだけ勤務先の大学内で行える研究内容に変更する。具体的には、前年度の聞き取り調査により存在が確認できた『波形本』系統本の写真(マイクロフィルム)を所有者から借り受け、複写ならびに内容の確認を行う。さらに、これまで収集した魚町の台本と比較することで『波形本』系本文のバリエーションについて考察したい。
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Causes of Carryover |
研究計画では、山脇家の移住先である東京をはじめ魚町と交流のあった新城などで実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大にともなう活動自粛から、実施できなかった。また、学会発表についてもオンライン開催だったため、交通費等の支出が生じなかった。 今後も活動の縮小を余儀なくされることから、計画を改め、『波形本』系統本の写真(マイクロフィルム)を所有者から借り受けて複写ならびに内容の確認を行うことにした。このため、次年度は調査に必要なマイクロフィルムリーダーを購入する。さらに、魚町台本との比較に基づく成果を論文等で公表する。
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Research Products
(3 results)