2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Hamamatsu Chunagon Monogatari with a focus on commennts written by classical Japanese scholars
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17K02439
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
赤迫 照子 宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (70452612)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 浜松中納言物語 / 写本 / 書入 / 伝本系統 / 校本 / 享受 / 和学者 / 物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の状況は以下のとおりである。 1、諸本の本文の翻刻作業に取り組み、データ化を進めた。 2、フランス パリの大学間共同利用言語・文化図書館(Bibliotheque universitaire des langues et civilisations 通称BULAC)蔵本(JAPAF.1213)を調査し、撮影を行った。予期せず、渡航直前から年金制度改革反対を訴えるストライキ・デモ行進が始まってしまい、調査不可能かと危ぶまれたか、図書館スタッフの御尽力で実現することができた。所蔵経緯にまつわる聞き取り調査も行った。なお、該本のデジタルデータ複製も入手できた。BULAC蔵本は朱の書入は散見するものの新出の内容はない。奥書を素直に信じるならば、BULAC蔵本の本文は「大江家古本臨模」の姿をほぼそのまま伝えていることになる。同じ「大江家古本臨模」でも、早稲田大学図書館九曜文庫本(以前は兵庫県立神戸高等学校蔵)は清水浜臣・伊藤光中・岩下貞融の詳細な書入があり、その書入を研究成果として後世に残そうとする意識が看取される。それとは別に、BULAC蔵本は「大江家古本臨模」そのままの姿を伝える流れの一本として位置づけられる。 3、書入の翻刻と各本の関係整理については昨年度に引き続き、清水浜臣本の流れを汲む諸本の整理を進めた。また、書入の少ない諸本の旧蔵者を改めてリスト化し、貸借の関係を再検討した。 4、3やこれまでの成果を整理し、『新校本』の「諸本解説」の執筆を進めた。 5、2のBULAC以外にも調査が必要な対象が存したが、感染防止のため出張が不可能になり、断念せざるを得なかった。
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