2020 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing a History of the Reception of Painting Themes in Medieval and Early Modern Japan
Project/Area Number |
17K02440
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
齋藤 真麻理 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (50280532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 画題 / 説話 / 類書 / 奈良絵本 / 絵巻 / 戯画 |
Outline of Annual Research Achievements |
論文「故事を遊ぶ―「戯画図巻」という文芸」(『古典の未来学』2020年10月、文学通信)では17世紀の狩野派の作例が複数残る「戯画図巻」を取り上げ、国内外で実施した諸本調査の結果を報告するとともに、作品に反映された機智と学芸の諸相を論じ、これらが醸成された文化史的背景について考察を行った。仙人の描写には明代版本からの多様な受容が見出され、また、室町物語『富士の人穴の草子』や「曽我物語図屏風」、「洛中洛外図」等に所見の「三十三間堂の通し矢」の風俗なども「戯画図巻」の遊びの趣向に活写されており、「戯画図巻」を基軸として、文学と絵画、江戸初期風俗等との相関関係も浮き彫りとなった。 研究報告「東京大学総合図書館蔵『山海異形』について」(国文学研究資料館『調査研究報告』41号、2021年3月)では奈良絵本『山海異形』が明代類書の奈良絵本化であり、天理図書館本のツレである可能性を指摘、さらにこの本が徳川御三家の一橋家伝来であることから、大名家における奈良絵本の制作享受の様相を考察した。 コラム「奈良絵本と『徒然草』―ジャンルを往還するメディア―」(『東アジアにおける知の往還』2021年3月、勉誠出版)では国文学研究資料館蔵の奈良絵本『子易の本地』の表紙裏反故に『徒然草』の注釈書『なぐさみ草』が用いられていることを指摘、本書が、17世紀日本に流行した徒然絵の制作に奈良絵本の制作工房が関わっていた証左であることを論じた。併せてスペンサー・コレクション蔵の奈良絵本『徒然草』等との比較検討を行った。 英文コラム「Tsukumogami emaki and Urban Spaces」(Studies in Japanese Literature and Culture、2021年3月)では室町物語『付喪神絵巻』を取り上げ、中近世日本、とくに五山でも愛好された玄宗皇帝絵の画題の反映のありようを論じた。
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