2018 Fiscal Year Research-status Report
エコクリティシズムによる養生論分析及び養生書出版年表と養生書英訳の作成
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17K02446
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
趙 菁 金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (50345641)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 養生論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、初年度から最終年度まで同時に取り込むつもりでいる三つの課題、①「江戸時代養生書出版年表」の作成②『養生要論』『続養生要論』の英訳版の作成③Therapeutic Landscape批評理論による養生論の分析、をもって研究を予定通りに進行した。2018年度は①と③について、2017年度の研究発表をもとに論文を執筆し、日本国内外の学術雑誌に投稿した。その中に、①については江戸時代の養生書の収集、所在の確認及び翻刻状況について調査を行った際、いままでの養生研究に言及されていない養生書について留意し調査及び分析を行った。特に能楽と養生という視点から、加賀藩13代藩主前田斉泰の『申楽免廃論』を考察し、庶民に一般的な養生知識や技術を教授する当時の養生関係書とは異なる著述目的があったことを指摘した。③については、Place, sociality, health: Forms of relocation and recuperation in modern Japan.をテーマにTherapeutic Landscape批評理論による養生論の分析を行った。さらに、中山医科大学(台湾)など日本国内外で開催された学会での学術発表、意見交換を通して、国際的な研究者ネットワークを構築し、Therapeutic Landscapeによるアプローチを一層究め、本研究に大きな励みと良い刺激を得ることができた。それによって、江戸時代の養生思想の歴史的展開に関する新たな視点提供の可能性を探ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は基本的には個人研究として進めているが、学会発表、シンポジウムの参加及び研究者同士の交流を通して外部の評価を受けて常に点検することを留意している。2018年度も日本国内、海外の研究者から得られた批判、アドバイスを参考に、研究の自己点検を行い、必要に応じて軌道修正も行った。従って、本研究の2018 年度の研究目的は達成したと言えるのである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、まず、出版年表の作成及び『養生要論』『続養生要論』の英訳版の作成は前年度と同じ方法で進めていく。特に出版年表については、『養生問對上』(天理図書館特別本)のような著者不詳の江戸初期の養生書の存在数量、所蔵先、閲覧可能状況について詳細かつ正確な調査を行う予定である。本研究は養生論を収集の対象としているが、江戸時代までのその他の分野との関連もも視野に入れ、例えば、出版と流通分野における養生書の取り扱い方及びそれに関連する記録の有無についても調査に入れる。Therapeutic Landscape批評理論による養生論の分析については、引き続き、日本国内外において研究会、学会、シンポジウムにて発表し江戸時代の健康観、自然観を環境と文化の関係において分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は効率よく資料収集ができ、当初の計画より旅費を少なく使用したためである。次年度は学会出張及び資料収集に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)