2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K02450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斎藤 理生 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40431720)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新聞小説 / 文芸欄 / 藝術新聞 / 藤澤桓夫 / 地方版 / 都新聞 / 朝日新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1940年代の新聞の文藝欄の研究として、2020年度は論文1本を発表し、口頭発表を2回行った。 論文「「藝術新聞」目録―自第五九九号至第六三二号(不揃)」(「阪大近代文学研究」2021年3月)は、戦前から戦中にかけて、文学・出版・絵画・音楽・演劇・映画などに関わる情報を週に一度、新聞の形式で発行していたメディアである「藝術新聞」に掲載された記事の内、従来の研究では明らかにされていなかった戦時下に刊行されていた号の内訳を紹介したものである。これは日本近代文学研究はもちろん、隣接諸領域の研究にも貢献する資料となるはずである。 口頭発表は、「藤澤桓夫『翼』論―「朝日新聞」を手がかりに」(新聞小説を考える会 新聞小説の戦前/戦中 2020年9月19日)と、「「朝日新聞」地方版の文藝欄の問題―一九四〇年代を中心に」(新聞小説を考える会 1930年・1940年前後の新聞小説 2021年3月24日 )である。前者では、1944年に「朝日新聞」に連載された新聞小説について、当時の紙面の他の記事とどのように内容が対応しているのかという点を中心に読解した。後者では、敗戦直後の「朝日新聞」の地方版に掲載された、没後に全集が発行されているほど有力な作家のの作品ながら、おそらくは東京版には載らなかったことで見過ごされてきた(作品そのものが確認されていなかったり、初出不明とされたりしてきた)小説や随想を紹介した。 この他に、Reserchmapの「資料公開」欄に、敗戦直後の京都の新興紙である「都新聞」の文藝記事の目録を、創刊号から1年分公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画時からの目標であった、(1)日刊新聞以外の専門紙(「藝術新聞」)(2)敗戦直後の新興地方紙(「都新聞」)について、それぞれ一部ではあるが、調査成果を公開することができた。 また、新聞小説研究の一環として、戦時下の新聞小説の研究も継続できた。それも、藤澤桓夫という、文学史等で言及されることは稀であるが、昭和期の流行作家として、とりわけ大阪において中心的な座にあった作家の作品に、新たな光を当てることができた。 一方で、当初の研究計画にはなかったが、発展的な試みとして、台湾の日本語新聞における文藝欄の調査を行おうとしていたが、新型コロナウイルス流行のため、調査に行くことが難しくなってしまった。しかし、それを補える研究ができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度に当たる次年度には、まず「藝術新聞」の文藝記事細目の続編を論文として公開する。また、「都新聞」の文藝記事細目の続きをweb上で公開したい。さらに、1940年代の「朝日新聞」大阪版と西部版との目録を完成させた上で、これまでの研究を総合的に振り返りたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、新型コロナウイルスの流行により、多くの資料調査、学会、研究会への出張が不可能になったためである。今年度は感染に最大限の注意を払いつつ、可能な範囲での出張を行う予定である。
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Research Products
(4 results)