2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Basic Study of Literary Columns in Newspapers in the 1940s
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17K02450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斎藤 理生 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40431720)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新聞小説 / 文芸欄 / 藝術新聞 / 三島由紀夫 / 藤澤桓夫 / 地方紙 / 朝日新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度には、第一に、戦時下における文芸文化の活動を知る有力な資料である専門紙「藝術新聞」の調査を昨年度から継続して行い、1943年から1944年にかけて発行されていた号の細目を発表した。第二に、敗戦直後の全国紙の地方版において文芸文化が果たした役割を知るために、1946年から1949年にかけて発行された「朝日新聞」西部版の学芸記事細目を作成し、発表した。第三に、後者の調査の過程において、従来学界で知られておらず、全集等にも収録されていなかった三島由紀夫の掌篇を発掘した。第四に、藤澤桓夫が1930年代から50年代にかけて書いた新聞小説について、大阪という土地や紙面との関わりを中心に分析した考察を、複数の研究会において発表した。 これまでの5年間の考察において、戦時下から被占領期にあたる1940年代の様々な新聞の文芸欄を調査することができた。新聞小説の紙面との密接な関係を分析したり、全国紙と地方紙との差異を検討したり、埋もれていた文芸作品を発掘することができた。むろん一人の手で得られた成果はわずかである。新興紙「新夕刊」やいくつかの学生新聞など、調査する予定はあったものの、資料が散逸して不可能だったものもある。それでも、複数の作家の全集未収録資料を発掘し、公開することができた事実は、それぞれの作家研究に資することができたことを示すし、一連の研究を通じて、1940年代という過渡期の新聞の文芸欄に、未だ多くの可能性が残されていることを証明できたと考える。
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