2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive study on fusion of culture in Taisho and Showa periods by elucidating the correlation between newspaper novels and illustrations
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17K02451
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
新井 由美 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (40756722)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 挿絵 / 小村雪岱 / 新聞連載小説 / 大衆文学 / 邦枝完二 / 舞台装置 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度中は、①小村雪岱が挿絵を手掛けた新聞および雑誌連載小説のリスト作成、②小説本文と挿絵の相関性についての考察、③同時代の挿絵に関する諸文献の調査、④新聞小説に関する研究会の開催および口頭発表、以上の四点を柱として研究を行った。
①雪岱が挿絵を提供した新聞および雑誌連載小説について、存在が確認できたものは全て当時の紙面を複写・スキャンし保存した上で、挿絵の特長や傾向のグループ化のための整理・分類作業を進めた。
②昭和戦前期の大衆文学界における人気作家・白井喬二の新聞小説と邦枝完二の雑誌小説を取り上げ、小説本文と雪岱挿絵との相関性について詳細な検討を行った。白井の新聞小説においては、雪岱挿絵には視点位置を意識した演劇的・映画的な手法が随所に用いられていることを明らかにした。また白井の小説掲載紙の調査を通じて、地方新聞連載の小説が全国的な傾向と同様にその地方において演劇化される事例や、新聞連載小説挿絵の展覧会が地方開催された事例が見つかり、同時代の挿絵は巷間に浸透し文化形成の一翼を担う媒体であることが判明した。邦枝の雑誌小説においては挿絵は新聞とは異なる方法論で描かれ、小説と挿絵によるインターテクスチュアルな試みとして注目すべき作品であること、関東大震災以後に本格化した明治文学再評価の動きを意識した作画法が用いられたことを明らかにした。
③雪岱挿絵成立の背景として、同時代の挿絵に関する諸文献資料の調査を行った。美術雑誌『東陽』所収「挿絵座談会」はこれまで存在が周知されていない資料であり、挿絵が社会の動向や同時代文化の諸ジャンルと密接に結びつきつつ展開するアクチュアルな媒体であることが、当該資料の精査によって具体的に明らかとなった。
④新聞小説に関する共同研究会を開催（2019年9月13日）し、口頭発表を行った。また新聞小説を対象とする研究者間でそれぞれの視点から意見交換を行った。
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