2017 Fiscal Year Research-status Report
三島由紀夫の演劇・映像・アダプテーションに関する総合的研究
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17K02453
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有元 伸子 広島大学, 文学研究科, 教授 (50202768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 裕子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30262356)
武内 佳代 日本大学, 文理学部, 准教授 (40334560)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 三島由紀夫 / アダプテーション / 演劇 / 映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、三島由紀夫作品が演劇や映像(映画、テレビドラマ)作品として上演され、あるいはアダプテーションとして創作・受容されてきた様相を探り、1950年代から没後50年近い現在に至る国内外の文化・社会状況との接合を通して、三島由紀夫とその文学が、小説以外の複数のメディアを横断する、いわば〈総合的文化現象〉として生成されていく過程を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は「三島由紀夫とアダプテーション研究会」を発足して、第1回の研究会を広島大学で開催し、参加者を募って、3名による研究報告と討議を行った。研究の基盤となる資料の収集と整理につとめるとともに、アダプテーション、メディア、ジェンダー/セクシュアリティ、ポストコロニアルなどの観点による作品と受容の考察を行った。また、研究会を通じて、三島や演劇・映像・アダプテーションに関わる研究者のネットワーク形成と共同考察への基盤づくりを行った。 平成29年度に、研究代表者の有元伸子は、3つの口頭報告を行った。特に、日本演劇学会と第1回三島由紀夫とアダプテーション研究会では、「黒蜥蜴」を上演史から検討して、乱歩の原作-三島由紀夫の戯曲-三島以降の脚本や上演による「黒蜥蜴」イメージの形成について考察し、アダプテーション検討の重要性を提示した。研究分担者の久保田裕子は、日本近代文学会国際研究集会において、三島由紀夫のタイ表象を検討し、海外における受容とアダプテーションの関係を提示した。同じく研究分担者の武内佳代は、『日本古書通信』に論考を断続連載し、女性誌に掲載された三島由紀夫作品を検討して女性読者による受容の解明に務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三島由紀夫とアダプテーションに関わる研究方法の検討・研究成果の発表・共同研究の基盤づくりのために、「三島由紀夫とアダプテーション研究会」を発足して、2018年3月に第1回の研究会を開催することができた。各地から三島由紀夫の専門家のみならず演劇・映像・アダプテーションに関心をもつ研究者が集まり、充実した討議を行った。 また、研究代表者・分担者ともに、それぞれの研究を進めて、成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も、研究方法の検討、研究成果の発表、共同研究の基盤づくりのために、「三島由紀夫とアダプテーション研究会」の活動を継続する予定である。既に第2回研究会の日時・会場・報告者が内定しており、その後も継続して活動を続けていく。 また、研究代表者・分担者ともに、各自の分担(演劇、海外での受容、映像)に沿って研究を遂行するとともに、打合せ会において互いの進捗状況と研究成果を共有していく。
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Causes of Carryover |
(理由)演劇・映像関係資料に関して、古書店等で見つからず、購入できないものがあった。 (使用計画)必要な書籍・雑誌・映像資料等の購入に務める。本年度も、研究会の開催を予定しており、招待発表者の旅費や講演料等に充当する。
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Research Products
(9 results)