2018 Fiscal Year Research-status Report
三島由紀夫の演劇・映像・アダプテーションに関する総合的研究
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17K02453
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有元 伸子 広島大学, 文学研究科, 教授 (50202768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 裕子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30262356)
武内 佳代 日本大学, 文理学部, 准教授 (40334560)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 三島由紀夫 / アダプテーション / 演劇 / 映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、三島由紀夫作品が演劇や映像作品として上演され、あるいはアダプテーションとして創作・受容されてきた様相を探り、1950年代から没後50年近い現在に至る国内外の文化・社会状況との接合を通して、三島由紀夫とその文学が、複数のメディアを横断する、いわば〈総合的文化現象〉として生成されていく過程を明らかにすることを目的にしている。 この目的のために、平成29年度に「三島由紀夫とアダプテーション研究会」を発足させて第1回研究会を開催したが、平成30年度は、引き続き2回の研究会を開くことができた。 第2回(2018年9月8日、日本大学)は、「演劇特集」として、三島演劇に関する2本の研究発表(久保田裕子氏、嶋田直哉氏)と、三島由紀夫の戯曲を多く上演している三条会の演出家・関美能留氏に講演をしていただいた。第3回(2019年3月9日、日本大学)では、特集「三島由紀夫と映画-「美しい星」の現在」として、三島映画や「美しい星」に関する2本の研究発表(柳瀬善治氏、田尻芳樹氏)と、映画「美しい星」(2017年)の吉田大八監督に制作の立場からの講演をしていただいた。関氏・吉田氏からは、実作の立場からアダプテーション研究を進めるうえでの大きなヒントをいただき、参加者からの評価も高かった。 平成30年度に、研究代表者の有元伸子は、3つの口頭発表を行った。とりわけ日本近代文学会秋季大会のシンポジウムでは、特集「アダプトされた文学の可能性─ 平準化する人文知の受容現象を問う」のなかで本科研における成果を大きく示すことができた。研究分担者の久保田裕子は、2本の口頭発表を行い、タイ国日本研究国際シンポジウム2018では三島戯曲の海外受容について成果を報告した。同じく研究分担者の武内佳代は、1本の論文と1本の口頭発表を行い、雑誌メディアにおける三島等の戦後派作家の受容の解明を進展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に発足させた三島由紀夫とアダプテーション研究会を、9月・3月の2回開催して、研究発表と実作者による講演によって、充実した討議を行うことができた。また、研究代表者・分担者ともに、それぞれの研究を進めて、成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度も、引き続き「三島由紀夫とアダプテーション研究会」の第4回を開催する。また、研究代表者・分担者ともに、各自の分担(演劇、海外受容、映像・雑誌メディア)に沿って研究を遂行するとともに、打合せ会において、各自の進捗状況を共有していく。また、最終年度であるために成果発表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
(理由)演劇・映像関係資料に関して、入手が難しいものがあった。 (使用計画)必要な書籍・雑誌・映像資料等の購入に務める。本年度も研究会を開催して、招待発表者の旅費や講演料等に充当するとともに、成果発表を行う。
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Research Products
(9 results)