2017 Fiscal Year Research-status Report
植民者二世の記憶と朝鮮表象―旧在朝鮮日本人の戦後と文芸創作の研究
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17K02455
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| Research Institution | Ehime University |
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Principal Investigator |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 植民者二世 / 在朝鮮日本人 / 外地引揚者 / 文芸創作 / 朝鮮表象 / 森崎和江 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、植民者二世にかんする資料収集と分析を中心に研究を実施した。特に、旧在朝鮮日本人による文芸創作の実態把握に努め、日韓の先行研究の位置づけを再検討した。
旧在朝鮮日本人による文芸創作とその関係資料の調査・収集・分析については、1960年代から1970年代を対象に、資料の収集・分析を行い、作家以外についても旧在朝鮮日本人の手記・回想記を含めて収集した。また、文芸創作にかんしては、特に森崎和江の詩やエッセイを対象にテクスト分析を行い、敗戦後における植民地表象を中心に検証した。
次に、旧在朝鮮日本人の戦後の活動とその立ち位置にかんする調査・検証では、1970年代から80年代にかけての外地引揚者にかんする言説を整理するため、関連する新聞雑誌関係資料を横断的に調査・収集した。この点については、複数の書き手に共通する交流や人脈、ネットワークなどに力点をおき、現在も資料調査を継続している。
平成29年度は、以上の項目について、それぞれの調査の進展に合わせて複合的に検討を開始する基盤が整うまでに至っている。また、森崎和江と朝鮮表象については、その一部を「オモニの記憶と鬼の子の顔――森崎和江の文章から」（第36回韓国日本近代学会国際学術大会「日韓マイノリティー文学の表象と今後の展望」、2017年10月21日、於愛媛大学）にて口頭発表を行っている。資料調査。収集したものにかんしては、書誌・関連年表の作成とともに、以降も継続的に実施する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況については、おおむね順調である。平成29年度は、概要欄に記載した通り、植民者二世の文芸創作とその関連資料の調査収集に費やし、現在も順調に進めている。
また、森崎和江に焦点をあて、在朝鮮時代および敗戦後の道程を検証しながら、特に1970年代から80年代までを中心に、彼女の朝鮮表象と戦後のオーラル・ヒストリーにかかわる足跡を一部明らかにしている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、森崎和江についての論考をまとめ、彼女の立ち位置を検証するとともに、旧在朝鮮日本人の文芸創作における植民地の記憶についての比較考証を進める。同様に、他の書き手の植民地の記憶についても、トピック分析を経たうえで植民地統治期の資料との比較を加えながら検討する。
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| Causes of Carryover |
一部、平成29年度に予定していた資料調査および翻訳校閲を実施できなかった研究事項があり、次年度に繰り越した。
これらの研究事項は、平成30年度に資料調査のための旅費および翻訳校閲としての謝金として使用計画を立てている。
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