2022 Fiscal Year Research-status Report
植民者二世の記憶と朝鮮表象―旧在朝鮮日本人の戦後と文芸創作の研究
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17K02455
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植民者二世 / 在朝鮮日本人 / 村松武司 / 外地引揚者の文学 / 海外放浪 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、前年度に引き続き、朝鮮引揚者に関する資料整理と分析を中心に研究を実施した。埴谷雄高や尾崎秀樹など旧在朝鮮日本人に限らない植民地体験をもつ外地引揚者の戦後の言説とともに、村松武司、小林勝らの文芸創作の実態把握に努めた。それとともに、現在までの日韓の先行研究についても再検討している。また、1960年代後半から70年代にかけての海外放浪と文学の関連について池澤夏樹を中心に別途検証した。1960年代後半以降の朝鮮引揚者をめぐる同時代の文学状況を把握するためでもある。 令和4年度の研究成果としては、朝鮮引揚者にとっての戦後の事例として日本比較文学会関西支部2022年度4月例会において「植民者の戦後―村松武司の詩作と朝鮮」(2022年4月16日)を発表している。研究発表では、鶴見俊輔や大江満雄、小林勝、呉林俊、金時鐘らとの関係も含めて、村松武司の朝鮮半島での来歴や初期からの詩作、エッセイ、栗生楽泉園でのハンセン病患者との交流など詳細に検討した。 また、1960年代後半以降の海外放浪について「池澤夏樹と南に向かう想像力―戦後日本と放浪する作家たち」(『跨境:日本語文学研究』第15号、2022年12月)として、口頭発表を経て論文として公表した。1990年代の池澤夏樹のポストコロニアル小説群を準備したともいえる「地理的人間」という鍵語とともに、戦後日本における海外旅行史と放浪する作家の群像を検証した論考であり、1960年代後半から登場する海外放浪というテーマを考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況については、コロナ禍の影響から国内外の資料調査などが計画通りに実施できなかったことから遅れている。今年度は研究成果の公表への道筋もでき、年度内に実施できなかった調査分析を次年度に行うことで、本研究をまとめられるところまで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、上記の通り、これまでの資料調査を整理することとともに、現在準備している論考を研究成果として公表し、本研究課題の研究報告を作成することを目標としている。
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Causes of Carryover |
次年度(令和5年度)の使用額が生じた理由としては、新型コロナウイルス感染症のため、国内外での資料調査等を実施することができず、当初の研究計画の通りに研究を進められなかったからである。遅延している項目については、次年度の研究計画に組み込み、可能な限り速やかに進めることで対応する予定である。
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Research Products
(3 results)