2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02463
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
大谷 節子 成城大学, 文芸学部, 教授 (90211797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 京観世 / 謡本 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時の平成30年度計画は、国内の素謡教授資料ならびに謡本調査の内、淺野太左衛門家旧蔵資料調査を継続すると共に、各地に所蔵される薗家旧蔵資料調査を新たに行う予定であったが、申請者が十ヶ月のヨーロッパ海外研修に赴くこととなったため、国内での調査を当初の計画から縮小し、謡教授を生業とした五家(岩井七郎右衛門家、薗久兵衛家、井上次郎右衛門家、林喜右衛門家、淺野太左衛門家)の内、門人帳が現存する井上家と薗家について、これをデータベース化する作業を行った。また、門人帳が現存していない他の三家(岩井七郎右衛門家、林喜右衛門家、淺野太左衛門家)についても、各々の家に関連する資料の中から、門人名が記されているものを探索し、門人名を拾い出す作業を行なった。また、前年度平成29年度に調査した浅野家旧蔵資料についての翻字作業と文献目録整備の作業を進めた。加えて、浅野太左衛門家旧蔵資料の『徒歌授受伝』について、浅野太左衛門家八代栄足門人の佐々木竹苞楼主人源春行が記した江戸時代中期における素謡教授の基本資料である『素謡世々之蹟』との関係について、二本を比較検討し、考察を進めることを行った。 フランスのストラスブール大学における研修中には、Kientzheimのアルザス・欧州日本学研究所(Centre Européen d'Etudes Japonaises d'Alsace:CEEJA)図書館、パリの新国立図書館(Bibliotheque Nationale de France)、フランス国立東洋言語文化学院(Institut national des langues et civilisations orientales、略称イナルコ)等で、謡本ほか能楽資料の検索、調査閲覧を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の平成30年度計画は、淺野家旧蔵資料調査を継続し、新たに各地に所蔵される薗家旧蔵資料調査を行う予定であったが、申請者が十ヶ月の海外研修でヨーロッパに滞在したため、国内での調査を当初の計画から縮小せざるを得なかった。その間、前年度に蓄積した資料の解読、入力を行ない、全体としては作業の大きな遅れはないが、国内での調査を次年度以降に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度できなかった国内各地の資料収集調査を継続すると共に、岩井家旧蔵資料の調査、データ収集を行い、岩井家の系図を作成し、岩井直恒の著述を中心に重要な資料の飜刻を行う。 岩井家旧蔵資料の大半は、筆頭弟子家であった某家に受け継がれているが、弟子家に継承されなかった蔵書の一部は、法政大学能楽研究所、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター、神戸女子大学古典芸能研究センターなどの研究機関等に分散している。江戸中後期に書かれた『岩井家蔵書目録』(個人蔵)と現在所蔵が明らかになっているものとを照合し、散逸した岩井家旧蔵資料の追跡調査を行う一方、現在所在が判明している文献については、悉皆調査と写真撮影を行なう。飜刻については、直恒の聞書を中心に進める。
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Causes of Carryover |
申請時には予定されていなかった申請者の十ヶ月に亘る海外研修が、平成30年度に急遽入ったため、当初予定していた国内での調査を縮小し、次年度に予定していた他の作業との順番を交替させた。従って、次年度は昨年度に予定していた調査を繰り下げて、本年度予定されている調査に加えて行う。
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Research Products
(3 results)