2019 Fiscal Year Research-status Report
国際的な視野から捉える林芙美子文学の研究~〈多文化共生力〉を探る~
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17K02466
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山下 聖美 日本大学, 芸術学部, 教授 (80349985)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本文学 / 林芙美子 / ロシア / インドネシア / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31(令和元)年度の研究実績は以下の通りである。 1,文献の調査・発掘……前年度より引き続き、国会図書館などで文献を調査した。また、ロシア国立アカデミー図書館にて資料調査を行った。 2,テキストの電子データ化、作品のリスト化……全集未収録の林芙美子作品(とくにインドネシアについて描いたもの)の打ち込済みテキストについて、公開にそなえ、旧字の統一作業を行った。 3,現地調査……ロシアのいくつかの研究施設(ロシア国立アカデミー図書館、ロシア科学アカデミーピョートル大帝記念人類学・民族学博物館、サンクトペテルブルク国立文化大学、ドストエフスキー文学記念博物館)にて知識の提供を乞うインタビュー、資料閲覧、及び成果公開発信のためのシンポジウム開催打ち合わせを行い、研究計画のさらなる発展の未来図を描くことができた。 4,研究成果の発信……論文として「林芙美子が描いた女たち①ロシア編~大地の力を持つ女~」(藝文攷25号 2019年12月)、「ロシアを描いた林芙美子の短編小説「トランク」を読む~男が越えたもの、女が超えたもの~」(日本大学芸術学部紀要70号 2019年11月)などを発表し、口頭発表として「文学から探る〈多文化共生〉」(コミュニケーション教育学会第10回研究発表会 2020年1月25日)、「海を越える日本文学 村上春樹と林芙美子」(サハリン州立図書館主催シンポジウムThe World of Haruki Murakami 2019年9月18日)などの発信を行った。国内外の識者から様々な意見やアドバイスをもらうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、作家・林芙美子を国際的な視点で捉え直すことにより、文学が描いた〈多文化共生力〉を明らかにしていくために、各国の次世代を担う文学研究者と連携し、国際的な視点から林芙美子文学の受容を考察することを目的としている。本年度は、テキスト整備、資料収集、現地調査、論文作成、口頭発表など、順調に進んでいたが、年度末の3月に予定していたシンポジウム開催(会場:インドネシアのランブンマンクラ大学)が、新型コロナウィルスの影響により渡航が不可能となり、延期せざるを得なくなってしまった。情報交換や成果発表の機会が失われてしまったため、研究にやや遅れが生じる結果となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新型コロナウィルスの影響により延期となっている、成果発表としてのシンポジウムの開催を、時期と場所を考慮しながら検討していくつもりである。国際的な事情が絡む問題であり、時期の決定が難しい場合は、成果発表を別の形で行うことも検討している。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していたインドネシアのランブンマンクラ大学におけるシンポジウムが、新型コロナウィルスの影響により延期になり、渡航費用が返金されたため、次年度使用額が生じた。これらは、世界の状況を考慮しながらも、国際的な視野に立つという研究の目的を果たすために、国際的な舞台においての成果発表と情報交換を行うべく使用したい。具体的には、延期されたシンポジウムの開催費用(旅費など)に使用する予定である。
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