2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K02474
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| Research Institution | Ritsumeikan University |
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Principal Investigator |
竹内 千代子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (00330382)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 芭蕉顕彰 / 芭蕉堂 / 芭蕉堂門人 / 花供養 / 俳諧伝授 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
『花供養』の翻刻を行い、既にWEB公開している。翻刻について、本年度は弘化元年から嘉永三年までの７冊を中心に精読した。前年度までにもWEB公開しているが、全翻刻のWEB公開には至っておらず、継続課題である。『花供養』は近世後期に毎年のように刊行されたのであるが、全国からの入集があり、京都に限らず俳壇の様相を知ることができる好資料である。全冊のWEB公開によって、有効な研究成果が期待できる。また、報告書『芭蕉堂門人録―影印と翻刻』（平成30年３月発行、1-71頁）を作成し、既にWEB公開している。『芭蕉堂門人録』に影印を付し、翻刻に校訂を加えることによって研究利用の促進が期待できる。同冊は、芭蕉堂の所蔵であるが、現在の芭蕉堂は閉鎖中であり、閲覧が困難な状況にあるが、今回のWEB公開で閲覧が可能になり、研究に資するものと評価できる。上記２点の公開アドレスは、立命館大学の協力により、以下のとおりである。
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/rarebook/2/3/post-48.html
研究発表として、「近世後期の京都俳諧と芭蕉顕彰―花供養が京都俳諧をリードする―」（2017年12月20日於立命館大学アート・リサーチセンター）を行った。『花供養』の俳文学史における意義として、全国の俳人が長期にわたって入集するところから、俳壇の様相が知られるという点を指摘した。
論文として、「松岡青蘿の伝書『俳諧点之格』考」（大阪俳文学研究会会報「俳文学報」第51号、平成29年10月、32-40頁）を発表した。伝書や作法書などは、近世後期にも多く存するが、俳諧に於いては芭蕉の検証的な要素が強く反映されている。さらには、俳壇経営の道具として用いられるという特殊性を指摘した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、洛東芭蕉堂関係の俳諧資料である『花供養』の翻刻と、「芭蕉堂門人帖」「秦夫草」の資料収集を予定していた。先ず、『花供養』の翻刻については、弘化元年から嘉永三年までの７冊を中心に精読し、WEB公開できた。引き続き翻刻を行い、WEB公開していくが、年次が進むに連れて一冊が大部になるので、当初の計画より時間を要すると推測される。また、公開に当たっては、本文画像との同時公開を目指しているので、画像の収集が急務である。
「芭蕉堂門人帖」については、平成31年度の公刊予定より早く成果を出すことが出来、WEB公開も出来ている。更に、堀家蔵の「秦夫草」については、資料の画像収集、翻刻、論稿は凡そ纏めることができているので、計画どおり平成31年度の公開ができるものと思われる。大部なので印刷費用が嵩むため、WEB公開のみになることも考慮に入れている。また、堀家の資料の一部を撮影したが、一部の資料に所在不明が生じている。しかし、次年度も継続して調査、撮影、公開する予定である。
なお、俳諧伝書など、芭蕉顕彰の周辺資料の考察も行ったが、継続する。当初予定していた二条家俳諧資料の閲覧は出来たが、撮影等の収集には至らなかった。所蔵者との継続的な関係が今後の課題である。また、当初予定していなかった点帖や伝書に注目するものが多くあり、これらの資料の収集や考察に軌道修正したい。その一つは、野風呂文庫の調査である。同文庫蔵の渡辺去何の俳書は未紹介であり、京都俳壇を担うひとりの五升庵蝶夢の高弟で、京都俳壇を考察するうえで有効な資料であると評価できる。野風呂文庫は公開されているが、公開日が月に２日間だけと、限定的である。このため、資料の公開は研究の利便性にも資するところが大きい。
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| Strategy for Future Research Activity |
『花供養』の翻刻については、引き続き翻刻を行い、WEB公開していく。そのための研究会を月２回の設定で行うこととしている。30年度は、嘉永六年のものから順次６冊の翻刻をし、精読する。また、WEB公開の際、本文の画像と併せて提示することが研究に利すると考えられるので、本文の画像の撮影を順次進めていく。文化元年本の刊行部数は少なかったと推察されるものであるが、近年、所蔵者から画像の提供を快諾された。今年度中に撮影を実施する。その他、数冊の画像も撮影する予定である。
堀家蔵の資料収集を継続して行うが、資料の一部に所在不明が生じているため、未知数の部分がある。ただし、堀家は研究に協力的で、近々当主に面会を予定している。堀家資料の「秦夫草」については、31年度に公開する予定である。
淀藩士畑吟風と二条家俳諧宗匠仏朔との交流から、近世後期の京都俳壇の一面を考察する。吟風と仏朔の資料は畑家文書に在り、画像での収集を行う。また、仏朔と二条家俳諧の資料は綾部市資料館にも在り、併せて画像での収集を行う。さらに、31年度学会発表に向けて、淀藩士の俳諧と芭蕉顕彰について資料を収集し、考察する。
また、当初の予定にはなかったのであるが、芭蕉顕彰の周辺資料として点帖などを考察し、画像の収集を行う予定である。近世後期の俳壇経営は、伝書や点帖において和歌や連歌とは異なる独自の展開をみせる。京都俳壇の周辺資料を概観的に考察することによって、京都俳壇の特質をより深く考察できると考えられる。その一つとして野風呂文庫の調査も追加する。野風呂文庫は公開されているが、公開日が月に２日間に限られており限定的である。このため、資料の公開は研究の利便性にも資するところが大きい。
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| Causes of Carryover |
差額は５万円程度で、概ね予定通りの予算執行であったと考えているが、次の二点が差額の生じた主な理由である。
当初は資料の撮影について、撮影者をアルバイト雇用して、現地撮影を行う予定にしていた。しかし、資料をお持ちの堀家の協力により、資料に保険をかけ、撮影の場所に持ち込む事が可能となった。このため、アルバイト代、交通費などが無用となったため、予算案に差額が生じた。30年度も資料の撮影を複数件予定しているが、いずれかは撮影者をアルバイト雇用して、現地撮影をする予定であるため、30年度の費用に合算して使用する。30年度は、野風呂文庫資料の撮影を計画しているが、資料の持ち出しは困難であると予想される。
購入予定のタブレット型コンピューターを再検討した結果、当初予算よりも安いが目的にかなった機種を選定して購入することができた。このため、差額が生じた。29年度に必要としなかったドライブ等が必要となり、周辺機器代金として30年度の費用に合算して使用する。また、消耗品としてはインク代金の使用を予定している。
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