2018 Fiscal Year Research-status Report
日本近現代文学における聴覚要素の表現的特徴に関する基礎的研究
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17K02476
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
真銅 正宏 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (80243674)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音 / 小説 / 音楽 / データベース / 聴覚要素 / 明治文学 / 大正文学 / 昭和文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書において、第2年目からの「研究計画・方法」として記した「人の歌声や、市井の雑踏の中で聞こえる雑多な音楽、また祭囃子など、人為的な音のうち、効果的と判断される音楽的要素をタイトルに含む作品を収集する」という研究計画の下、音に関わる要素をタイトルに持つ作品について、『明治文学全集』『編年体大正文学全集』『昭和文学全集』を中心にデータベースを作成した。事前に予想したほど作品タイトルに音の要素が直接用いられた作品が少なく、また用いられていても、内容とさほど関係の無い場合も見られ、個々の作品毎にさらに詳しい調査が必要であることが明らかになった。このことは当初から予想された点であるが、文学作品のタイトルについては、予想以上にこの乖離が激しいことが改めて明らかになった。これ自体も研究テーマとして立てる事象である。文学全集に、各種雑誌目次総覧等に掲載されている作品を加え、データベースを充実させる作業をさらに行い、同時並行で、その作品個々における音の要素の描写について検討した。また、五感の研究の一環として、嗅覚要素をも同時に小説作中に探る作業を行い、聴覚と嗅覚、さらには視覚要素などの複合的な効果についても検討の幅を広げることとした。これら作業の途上で平成30年度の研究期間を終えた。 なおこの間に、「「泥の河」にみる、音による「大阪」の再現」(『国際教養学部紀要』2019年2月)および「書評・山本亮介著『小説は環流する―漱石と鴎外、フィクションと音楽』」(『昭和文学研究』2019年3月)を執筆し、研究の成果を間接的に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文学作品におけるタイトルが、作品の内容面における音や音楽などの聴覚要素を正確に反映していない場合が予想以上に多く、データベース作成に予想以上に時間が取られ、第2年目から開始すべき表現効果をめぐる論考の執筆を予定していたが、論考化までに至っていない。データベース化については、作業の割りに数が集まらず、表現効果を定量的に観測するには不十分なものと判断されるが、データベース自体の質保証は必須であるので、こちらに多くの時間を割くことになった。第3年目からの予定では、音の表現に関するエッセイ群のデータベース化に着手する予定となっていたが、小説に関する作業も継続して行う必要があり、同時並行でこれらを行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
音および音楽に関わる表現のデータベース化のさらなる充実をまず第一として進め、これらの特徴分析を行い、テーマをいくつかに分け、それぞれについて同時並行で論考化を進める。また、五感要素の研究として、嗅覚に関わる研究を進め、これと聴覚要素の文字表現における効果の相違点と共通点を見るとともに、文字による感覚表現の共通的特徴を明らかにし、また、五感の複合的な表現についての研究の可能性を探りたい。11月に、日本近現代文学における感覚表現の特徴について、イタリア・ナポリ東洋大学で、2回の講演の機会を得たので、ここで成果を公表する。
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Causes of Carryover |
申請書の時点では確定的ではなかったために、海外旅費の申請は行わず、国内旅費のみを計画していたが、本年度11月にイタリアのナポリ東洋大学での成果発表講演会を行うことが、ナポリ東洋大学からの依頼でできることとなったために、旅費の一部に繰り越し分を宛てたい。
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Research Products
(2 results)