2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02478
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
荒井 真理亜 相愛大学, 人文学部, 教授 (90612424)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 上司小剣 / 書誌 / 出版 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
第5年目は上司小剣の著作目録の完成に向けて、悉皆調査およびデータの整理を進めた。 これまで明治・大正・昭和と時代ごとに上司小剣の著作を確認・収集してきたが、その際、確認できなかった著作もある。未確認の著作については、それらが掲載されている雑誌を古書で購入したり、文献複写サービスを利用してコピーを取り寄せたりした。しかし、稀少な雑誌に掲載されている著作や新聞連載小説などは所蔵先に出向いて、現物を確認する必要がある。第5年目も第4年目同様、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の影響で調査出張が難しい状況ではあったが、移動が可能な範囲で大学図書館や公共図書館等を利用し、そこに所蔵されている資料の確認・収集に努めた。戦後に発刊された『太平』『りべらる』『大和文学』などの雑誌、『都新聞』『萬朝報』『時事新報』などの新聞を調査して、そこに掲載されている上司小剣の著作を確認・収集した。その過程で、既存の目録には採られていない記事やアンケートを発見することができた。しかし、制限があるなかでの調査であったため、第5年目にすべての著作を網羅することはかなわなかった。 著作は発表年月日順に整理し、内容を分析した上で、小説・評論・エッセイ・コラム・アンケートなどに分類した。あわせて、主要な著作については解題を執筆した。これまでの調査で確認・収集した著作とデータとを照合し、目録作成用のデータベースを構築した。未確認の著作もあるが、データベースによって著作の全体像が見えてきた。今後も悉皆調査を継続し、著作目録を完成させたい。一方、著作の解題は主要なものを取り上げる方針であるので、第5年目で大方執筆が終わり、発表の準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上司小剣の著作目録を作成するためには、図書館や文学館等での調査は不可欠である。 本研究は著作の現物を確認することを基本方針としていたが、調査出張が難しい状況が続いたため、第5年目は文献複写サービスも利用して著作の確認・収集に努めた。しかし、なかには複写できない資料もあって、その場合は所蔵先に出かけていき、閲覧するしかない。特に、地方紙に発表された新聞小説の調査が難航している。新聞小説は連載日を調べなければならないが、連載回数が多いため、文献複写サービスで資料を入手することが難しい。第5年目も新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の影響で、他府県の図書館や文学館での調査が計画通りに実施できなかった。悉皆調査を終えることができず、著作目録が完成しなかったため、研究の進捗状況は遅れているといわざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
上司小剣の著作のうち、未確認のものの調査を終わらせる。まず『九州日報』『福岡日日新聞』『中外商業新報』『北海タイムス』『台湾日日新聞』『京城日報』などの地方紙を調査する。あわせて、古書を探して購入したり、図書館や文学館等の文献複写サービスを利用したりして資料の収集に努める。 悉皆調査の目途がついたところで、上司小剣の著作目録を作成する。著作目録は主要著作解題とあわせて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
第5年目も新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の影響で、調査出張を計画通り実施できなかった。そのため、旅費の支出が少なかった。しかし、他府県への移動制限が緩和されてきたので、次年度は他府県の図書館や文学館に出張し、調査を行う。 また、膨大な著作の目録を整理するには、研究代表者だけでは限界があり、資料整理や情報入力などはアルバイトの助けが必要である。しかし、先の事情でアルバイトを依頼するのも難しい状況であった。そのため、人件費の支出がなかった。一方、研究代表者は調査出張ができなかった分、資料整理に時間を費やすことができた。そのような事情で第5年目は研究代表者のみで作業を進めた。次年度は目録のチェック作業もあるため、アルバイトを依頼する予定である。第5年目に悉皆調査が終わらなかったので、著作目録を完成させることができなかった。そのため、研究成果を発表するための費用を支出しなかった。次年度は著作目録を完成させ、主要著作解題とともに発表する予定であるので、次年度使用額の一部をそのための費用に充てる。
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