2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on literary networks centred on the Emperor's poetry circles during the Bakumatsu Restoration period.
Project/Area Number |
17K02479
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
盛田 帝子 (飯倉帝子) 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40531702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近世堂上歌壇 / 幕末維新期 / 光格天皇 / 寛政度復古内裏 / 王朝文学空間 / 作品生成の場 / 京都御所 / 物合の再興 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光格天皇歌壇以後の幕末維新期における堂上歌壇 の実態を解明しつつ、その文学史的意義を明らかにすることを目的とし、東山御文庫・宮内庁書陵部( 旧禁裏・宮家・堂上公家所蔵本)・陽明文庫(近衞家襲蔵本)等の堂上歌壇に関係する資料を調査・収集・解読し、多角的な視点から分析してきた。 本年度は、光格天皇の即位前から即位後にかけて、主に安永・天明期の江戸の雅文壇の中で流行した物合のひとつである「十番虫合」という催しに着目し、平安時代に宮中およびその周辺で行われていた物合が、その後、途絶え、18世紀後半に再興される際に、なぜ京都ではなく江戸で再興されたのかという点について、「解題―古典知の凝縮された『十番虫合絵巻』の魅力」(盛田帝子・ロバートヒューイ編『江戸の王朝文化復興』所収)で報告した。また、18世紀から19世紀にかけての宮廷空間、特に光格天皇の時代に新たに造営された寛政度復古内裏に着目し、新たな作品が生まれる空間はどのように造られたのか。その時、古典はどのような役割を果たしたのかということについて、「十八ー十九世紀における王朝文学空間の再興」(盛田帝子編『古典の再生』所収)で考察した。これらの問題に関連する小文を1本書き、招待講演を2本行った。また、3月3日には京都産業大学において18-19世紀京都文芸生成の現場―みやこに吹く新しい風」と題するするワークショップを主催し、6名の発表者(山本嘉孝・加藤弓枝・盛田帝子・菱岡憲司・中森康之・門脇むつみ)と2名のコメンテーター(大谷俊太・鍛治宏介)が、最新の知見を共有しつつ、京都文壇研究について議論し、今後を展望した。盛田は「光格天皇の眼差しー京都御所という作品生成の場をめぐってー」と題して発表した。
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